2012年8月9日木曜日

続・キャラフ、デカンタ、エトセトラ…

昨日は本題に入る前に時間切れとなり、意味も無く馬鹿みたいなブログをアップしてしまいました。
きょうは、いきなりテーマに突入します。
【Carafe-キャラフ-について】
日本でも最近キャラフェとかカラフェとか呼ばれているようですが、昔はデカンタで通っていたような気がします。
因みにフランス語ではdecanterとは液体の滓を残して上澄みだけを取り出す行為を表す動詞であり、名詞ではありません。
carafe(カタカナ表記するならキャラフが比較的近い発音かと)は、食卓で使う水やワインを入れるガラスまたはクリスタルの
容器全般を呼ぶ名詞で、広い意味ではフォルムを問わず使われます。
例えばカフェやビストロでタダの水道水を頼む時は"Une carafe d'eau SVP!" 「ユヌ・キャラフ・ドー スィル・ヴ・プレ!」と
叫ぶと安手のガラスの水差しに入れた水を持って来てくれます。
高級レストランで年代物のワインを頼むと、ボトルを見せた後栓を抜いてから暫く置き、おもむろにクリスタルのキャラフに
デカンテしてサーヴィスしてくれます。
カフェでタダの水を入れるのもcarafeなら、高級ワインをボトルから移し入れるのもcarafeなのです。
【Broc-ブロ-について】
広い意味ではこれもキャラフに入るのですが、持ち手と注ぎ口が付いたものはbrocブロ(ブロックとは読みません)と呼ばれます。昨日のブログに載せた写真のものが、これに当たります。ブション(栓、ストッパー)が付いたものと無いものとがあります。
【Canette-キャネット-について】
ブロと同じように持ち手と注ぎ口が付き、多くの場合1リットル以上入りそうな大きさで背が高く、広口でブションや蓋の無いガラスやクリスタル製のビール専用ピッチャーのことです。
現代では専ら缶ビールなどのカンの意味にしか用いられませんが、昔は各クリスタルリーがこうしたキャネットとショップ(コップ、タンブラー)をセットにしてビール・サーヴィスとして売っていたのです。
【Flacon-フラコン-について】
どこがどう違うのかと言われても困るのですが、何故かウィスキー用のブション付きキャラフはフラコンと呼ばれます。
強いて言えば、フラコンは比較的コロンとした感じの小ぢんまりとしていながらもしっかりと肉厚なガラスやクリスタルで出来た
キャラフといったところでしょうか。
【Aiguiere-エギェール-について】
そろそろウンザリしてきましたね。まだいるのですよ、キャラフの仲間が。aiguiereは今ではほとんど死語に近いと思われますが、アンティックの世界ではまだ使われます。aigueとはラテン語のaquaから来た古語で水を表し、aiguiereとは本来は水瓶のことなのです。しかし、近代では水差しのイメージはなく、古風でエレガントなキャラフを指すようです。多くの場合、鶴首で下部がつぼまって時に台座が付くフォルムで、持ち手と注ぎ口が付いています。brocとの違いはといえば、微妙ですが、より優雅で装飾的なところでしょうか。

やれやれ、本当はまだcrucheとかpichetとかpotなんていうのもあるのですが、アンティックのガラス器としてはこんなところです。(文字化けが心配なので、フランス語のアクセント付き文字は避けました。)



1930年代のキャラフ バカラ"Golfe Juan" 
1930年代の銀装飾付きキャラフ バカラ
1960年代のシェイカー兼キャラフ バカラ"Elisabethe" 
             

20世紀初頭のトワレット用キャラフ バカラ"Diamants Pierreries" 


(左から)19世紀末のキャネット DAUM、 現代のウィスキー用フラコン バカラ"Harcourt"、 現代のエギェール ERCUIS

          

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