2020年10月30日金曜日

Tournusの1★レストラン『 Restaurant Greuze L'Écrin de Yohann Chapuis』

 今更ですが、9月のブルゴーニュでのプチヴァカンスは実はグルメ・ツアーで、連日★付きレストランを食べ歩きました。
第一夜はTournusの宿泊先から100mしか離れていないレストラン・グルーズ。
このレストランは先代が1947年に開いた歴史的有名店だったのを、今のオーナーシェフYohann Chapuis氏が買い取り、モダンに改装し、元の屋号を引き継ぎながらシェフの名前も加えた店として復興させ、2018年に長年失われていたミシュランの星をグルーズに取り戻したのだそうです。

トゥルニュの町の名が広く知られるようになったのはサン・フィリベール修道院よりもレストラン・グルーズのおかげと言っている人もいるだけに店構えも大きく立派です。
左側の入口がl'écrin de Yohann Chapuisで、右側はビストロタイプのLe Bouchon Bourguignon。両方ともオーナーはシャピュイ氏。

コントンポランなインテリア(写真撮るの忘れた)に、超コントンポランなテーブルセッティング。
各テーブルに載っているカトラリーセットは最初蓋を被っていて巨大な卵のようで、
変なテーブルアクセサリーと思いきや、ChristofleのMOODという新製品だと後で知る。

白磁の食器類も全てコントンポランを超えてアヴァンギャルド!
左はパン用のバター。右はアミューズ5種。

ソーヌ河のエクルヴィス(ザリガニ)とトマトや青りんごの一皿。
ワインは白のリュリ―・プルミエクリュからソムリエお薦めの1本をチョイス。バッチリだった。

左はシャンピニオンやコルニション添え(むしろメイン?)エスカルゴ。
右はレマン湖のフェラ(深く冷たい湖に住むサケ科の魚)、
フランボワーズ、セロリ、サフラン、エクルヴィスバターの熱いマヨネーズなどのソースやムース添え。

ネクタリンとミュール(ブラックベリー)のヴァシュラン風デザート。
右はミニャルディーズ。何か(思い出せない)の冷茶添え。

フロマージュもコースに入っていたけれどパス。それでも私達はもうフルっフルでコーヒーもパスし、疲れ切って宿への100mの距離を長く感じながら帰ったのでした。
けっこうな長旅だった上に寄り道もしたし、Tournusに着いてから散歩もしたし、しっかりディナーもしたし、長い一日でした。
シャピュイ氏には申し訳ないけれど、写真を撮ってメニューも貰ってきたからこそのリポートで、どんなお味だったかは全然思い出せません。
不味かったらかえって覚えている筈なので、それなりに美味しかったのだと思います。
お料理そのものより、プレゼンテーションがなにしろ印象的なレストランでした。

レストラン・グルーズのHPはこちらから


2020年9月16日水曜日

プチヴァカンス@ブルゴーニュ Noyers、Tournus

 9月3日から7日まで、恒例の夏の終わりのプチヴァカンス兼グルメツアーでブルゴーニュに行ってまいりました。
今回は初めて訪れる南ブルゴーニュの町Tornus(トゥルニュ)2泊と、何度も訪れたBeaune(ボーヌ)2泊の短い旅です。
宿は17時からしかチェックインできないとのことで、中世そのままの美しい村と謳われるNoyers sur Serein(ノワイェール・スュル・スラン)に寄り道してお昼をしました。

左の露地にテラス席↓を出したレストランでランチ

ここで唯一ミシュランに載っているレストランLes Millesimesのランチは全然美味しくなかった。暑かったので時折そよ風が通る日陰は心地よかったけれど…
(食事客がいっぱいで撮れなかったので写真はGoogleから拝借)

『フランスの美しい村』(全国で現在159村が認定されている)の一つで、フランス人の最も好きな村21選の中の7位になったこともある村だそうです。

城跡近くの小高い展望スポットからの眺め

暑かったし、この先まだ約200Km走らなくてはならないのでざっと見で失礼することに。

興味のある方はYOUTUBEの動画をどうぞ。

前日までうそ寒い陰鬱な天気が続いていたのに、この日から俄然晴れあがり旅行中ずっと夏が戻って来たような好天が続きました。
日頃の行いが良い私達のこの時期の旅行は、たいていインディアンサマーに恵まれるのです。

お昼に地元なのでChablis 1er cruをいただきましたが、グラス2杯に抑えたので眠くなることもなく、調子よく飛ばして無事に目的地Tournusにちょうど17時過ぎに到着しました。

この町を代表するモニュメントSaint-Philibert教会の向いに、目指す宿LaTour du Trésolierの入口を見つける。

入口で荷物だけ降ろし、渡された略図を頼りに駐車場に向かう。
とても大きな樹が目印だとマダムが言っていたけど…

大きな門から庭に入り駐車場へ

テラスから中に中に入り、入口の塔の螺旋階段を2階(日本式には3階)まで登り私達のスイートへ。
教会に面した窓のあるサロンはアールデコの箪笥や、壁に飾られたたくさんの小さな額に入ったセピア色の古い写真(1900年頃らしい服装のアンティックドールのような幼女が映っていてコレクションかと思ったら、宿のご主人のお祖母さんの子供時代の写真だと後で聞いてビックリ)などcosyでアンティックな雰囲気。

裏庭側に面した天井の高い大きな寝室。こちらもベッド以外は全てアンティックの家具と例の写真で飾られている。

シャワールームもある広くてリュクスなバスルーム。廊下やバスルームには額に入った蝶の標本が飾られている。

寝室から出られる広い専用テラスからの眺め。悠々と流れるLa Saône(ソーヌ河)が美しい!
因みにソーヌ河はヴォージュ地方からリヨンまで480 Kmに及ぶ大河で、
リヨンでLe Rhône(ローヌ河))に合流するフランスで9番目に長い河だそうです。

庭を見下ろす下の大きなテラスで朝食。
ここはMaison d'hôtes(B&B、ゲストハウス、民宿の類)で、初老のご夫婦が5部屋のお客をもてなすアットホームな宿です。ユーザーの評価が頗る良く(booking.comで9.7/10)、朝食も素晴らしいと書かれていたけれど、確かに美味しく豊かで愛のある朝食でした。

軽い斜面になっている広いお庭も清々しく美しい。左に見える離れも客室。

夕方庭から外に出てソーヌ河畔を散歩した時にちょうど大きなクルーズ船が通った。

お向かいのサン・フィリベール教会。12世紀に建てられたベネディクト派の修道院で、ブルゴーニュの重要なロマネスク建造物の一つらしい。私達の宿は修道院の財務官の住居として10~11世紀の城壁の上に1643年に建てられた家とのこと。二つの鐘楼で鳴らされる鐘の音が部屋の中でも大きく聴こえました。
町のあちらこちらに城壁の名残の塔がある。右は小さな町なのに3軒もあった骨董屋のうちの1軒。買うべき物は何も無かったけれど…。

お食事編は次回にして、きょうはここまでに致しましょう。
少しお仕事をしなくっちゃ。


2020年9月1日火曜日

ラリックのガラス《その4》グラスセット

明日から9月。きょうは最高気温20℃、寒いです。
コロナの夏が終わり、コロナの秋が始まります。
8月28日からパリとパリに隣接した3県のあらゆる公共の場所(つまり自宅の外)でのマスク着用が11歳以上の全ての人間に義務付けられることになりました。
違反すると135ユーロの罰金です。
誰もがマスクをして外を歩いているというこの滑稽でもあり不気味でもある光景は、いつまで続くのでしょうか?

さて、気を取り直してラリックのお勉強を続けることに致しましょう。
今回はServices de verres(各種のグラスやキャラフなど揃ったセットモデル)を見ていきます。
モデル名のアルファベット順に並べてみます。

SPはスペシャルモデル、特注品など製品番号の無いものです。
+LSは同じデザインでロングステムタイプもあり
+SSは同じデザインでショートステムタイプもありという意味です。
*モデル名に続く数字は製作年です。
















たくさんありますねぇ!この他にスペシャルがもう2種あるのですが、適当な画像が見つけられなかったので掲載しておりません。
スペシャルモデルは全部で5種あり、掲載していないのは
ELYSEE 1923 大統領官邸の注文。1923年のサロン・ドートンヌに出品。
JAMBES PERLEES 1925 商品化したモデル。番外品。
上に掲載したモデルでは
MOUETTES 1938 イギリス国王ジョージ6世とエリザベス王妃来仏の折、パリ市からの贈り物として特注されたモデル。パリ市庁舎でのレセプションのテーブルでも使われた。
NORMANDIE 1934 豪華客船ノルマンディ号のための特注モデル。
RAPP 1923 商品化したモデル。番外品。

+SSや+LSのあるモデルは6種あり、これらはアルザス工場の操業開始時期1923年に職人の腕試しを兼ねて手彫り(ホウィールエングレーヴィング)させたグラヴュール装飾モデルです。
ラリックの器では珍しいグラヴュールモデルですが、すぐ廃番になったようです。

2020年8月6日木曜日

ラリックのガラス《その3》ゴブレ

8月に入りました。コロナが終息しないまま真夏になってしまいました。
インフルエンザのように、暑い季節になれば終わるだろうという説もありましたが、とんでもない!むしろ増々猛威を振るっている状況です。
フランスでは8月4日の時点で24時間内に1039人の新しい感染者が確認されており、これまでの総感染者数は191295人、死者30296人という恐るべき数字が挙がっています。
後々このブログを読み返した時のために、一応現状を記録しておきます。

さて、気を取り直してラリックのガラスのお勉強に戻りましょう。
ルネ・ラリックは様々なジャンルの実に膨大な数のガラス作品を手がけました。
世の中にはそれら全てのモデルを熟知しているスペシャリストもおられますが、私などほんの一部のモデルしか把握しておりません。
この機会に少しずつ整理しながら見覚えていきたいと思います。 
まずは最も身近なテーブルウェアから始めましょう。
と言っても、ボウル類、皿類、グラス類、その他のテーブルアクセサリーなど多岐にわたり、またそれぞれのジャンルの中で更に細かく分かれるのですが、この稿ではグラス類の中のゴブレ(ステムの無いグラス)をまとめてみます。
ラリックのガラスの殆どは製品番号とモデル名が付いておりますが、ここではモデル名のアルファベット順に見てゆきます。

SVが付けてあるモデルはServiceつまり揃いのピシェやキャラフ、サイズのヴァリエーションのあるシリーズ品です。
SPが付けてあるモデルはSpecialつまり製品番号の無い特注モデルです。
*モデル名に続く数字は製作年です。

             
                  BACCHANTES 1932      BAGUE CHIENS 1913        BAHIA 1931               BAMBOU 1931

           
                 BLIDAH 1931                BRISTOL 1924                 COQUELICOT 1930       DOCTEUR PIERRE 1932 SP

            
                 ENFANTS 1932               EPINES 1920             FLEUR 1932 SV       FONTAINEBLEAU 1931  

            
GLASGOW 1932        GOUTTES D'EAU 1922 SV    GRAINES 1920-1921 SV    HAARLEM 1924 SV

            
HESPERIDES 1931              JAFFA 1931                      LOTUS 1922                   LOTUS 1924 SV

            
MARGUERITES 1920      MARIENTHAL 1932                PAVOT 1922                    PETITES GOUTTES
(Clos St-Odile) 1922 SP      
                 
   RAISINS 1920                      REIMS 1942                RICQUEWIHR 1931        SAINT-MALO 1944   

                  
SAINT-NABOR 1931          SETUBAL 1931         SIX FIGURINES 1911          SPIRALES 1925 

              
UNAWIHR 1932                    VIGNES 1931      

この他に商品化されなかったモデルが2種ありますが、以上が現在(運が良ければ)入手可能なゴブレのモデルの全てです。
フォルムが限りなくゴブレに近いグラスというのも別にありますが、それらはラリックがゴブレとして分類していないのでここには掲載しておりません。
写真は、ゴブレのサイズが考慮されておりませんので、大きく見えても実は小さかったり、その逆だったりします。
また、画質も色々でディテールが良く見えないものもありますが、大体のフォルムや装飾デザインを見取っていただけたら幸いです。
例によってクリックで拡大画像をご覧いただけます。