2012年10月29日月曜日

パリ9区の骨董市にて

パリは昨日からまた突然寒くなりました。今朝(6時頃)の気温は3℃ぐらいです。
ウチの子供達は短毛なので寒がりで、暖房の傍で猫のように丸くなっております。私達も当然ダウンジャケットです。
昨日は寒空の下、パリ9区の路上で開かれた骨董市に行ってきました。90軒ほどの小さな市で、90%は駄物ばかりでしたが、10%は私達の足を止めるに足るスタンドがあり、少しですが買物ができました。
モンマルトルの丘に向かってゆるい登り坂になっており、時折り白亜のサクレ・クール寺院の屋根が見え隠れするRue des Martyresという縁起の悪い名前のこの細い坂道は、初めて行きましたが、とても魅力的な所です。
美味しそうな食材を売っている店や、綺麗なお菓子屋、洒落たレストランやカフェなど一々立ち止まりたくなる店が軒並みなのです。
食いしん坊の私達には、買って帰りたい物だらけでしたが、既に両手は骨董市で買った物で塞がっており、もうそんなに持てないという状況。それでも、エピスリーでイカ墨入りのパスタ、イベリコハムのベジョータ、小さなソシソン・セック、ガトーフロマージュなどを買い、八百屋でジロル茸やクレマンティーヌ、ルビーのように真っ赤なミニ・トマトを買い、更にシュークリーム専門店で12種のプティ・シューまで買い込んだのでした。
モンマルトルの丘の麓界隈は昔からの歓楽街で、夜の街というイメージがあり、あまり足を向けることもなかったのですが、こんな素敵な所があったとは!
後で知ったのですが、このマルティール通りはグルメ通りとして今パリで最も注目を浴びているスポットの一つなのだそうです。
結局、骨董よりも食べ物を多く買付けて帰ってきました。何をやっているんだか…。でも、気になる町です。また行かなくては。

サクレ・クールが見える所で撮りたかったのに…

一見何かありそうで何も無いスタンドばかり

おしゃれなウィンドウディスプレー(上)に惹かれて入ったシュー専門店
Popeliniの店内にはパステルカラーのプティ・シューがズラリ(下)
お店のトーンとコーディネートしたスタイルのおねえさん

Popeliniポペリーニはマレ地区に最初のお店があるシュークリーム専門店で、この第2店は出来たばかりの模様。マカロンはあまり好きではないけれど、シューは大好きなので嬉しくなって12個詰めてもらいました。箱やバッグもお店同様に可愛くて、箱には小さな字で『私共のシューは全て愛を込めて仕上げられております。どうぞ同じように(愛を込めて)お召し上がりください。』と書いてありました。因みにポペリーニはイタリア出身のパティシエの名で、フランス王室に嫁いだメディチ家のカトリーヌに仕えるためフランスに来て、1540年にシュー皮を発明した人とのことです。まだ全部味見をしてはおりませんが、クリームは濃厚、皮はしっとりと重く、小ぶりなのにしっかりと充実しており、ちょっと愛が入り過ぎたかなって感じ。


この日の主な収穫。珍しくガラスより陶磁器がメインでした。

きょうから冬時間です。今朝、6時だと思ったのは7時だったのです。最近朝8時半過ぎないと日が昇らないのに、7時半でもう明るい?まさか、と思ってハタと気付きました。日本との時差が8時間に戻りました。

2012年10月27日土曜日

うちのファミレス『ラ・クリエ』

きょうはドンヨリと曇っていますが、日曜日から昨日まで良い天気が続きました。
そんな或る晴れた日に(って月曜日だったのですが)、近所の魚貝専門レストランで久々に生牡蠣を食べました。
LA CRIEE(ラ・クリエ=魚河岸) という店で、フランス全国に30軒ほどチェーン展開している魚貝のビストロみたいなレストランです。
フランスもファミレスのような店が増えました。いわゆる『肉』を食べない私達が時々行くのはこの『ラ・クリエ』か、ムール貝で有名なブラッスリー『レオン・ド・ブリュッセル』です。
日本にもこうした魚貝専門のファミレスってあるのでしょうか?
ラ・クリエで私達がいつも決まって食べるのはまずUtah Beach(ノルマンディー上陸作戦でこの名が付いたノルマンディーの海辺)の牡蠣。大きくて味が濃厚で、たくさんは食べられませんが大好きです。その後、海老や魚の温かい料理を食べるのですが、この日は黒板に本日のおススメ前菜としてTataki de Thon(マグロのたたき)なるものがあったので好奇心を抑えきれず、メインの代わりに私はこれを取ることに。夫は海の幸とご飯のポワレ、何のことはないフランス版パエリャでしたね、これは。
Tatakiは、カツオの土佐造りっぽく表面を炙ったマグロの刺身の厚切り(2cmぐらい)がたったの三切れ、長方形のアルドワーズ(スレート?)の皿にころがっており、隅の方に練りワサビ、ガリ、小皿になみなみと注がれた醤油が添えられておりました。で、おそるおそるお箸(ちゃんと割り箸まで付いてきた)で摘まんで口に運んだところ、意外にもこれが香ばしくて美味しいのです。
いやぁ、ラ・クリエもやってくれますね。なかなか意欲的でよろしい。
私が割り箸にビックリして笑ったら、息子がMANGAオタクで日本語を習っていると言ういつも元気なサーヴィスの女性が得意そうに『エーウィ、タタキ、バゲット(お箸)!』もちろん、タタキにはお箸でしょ、ですって。

氷の上に並べられたユタ・ビーチ。付き物のライ麦パンとエシャロット入りヴィネーグル。

一口では食べきれない大きさのユタ・ビーチ。
デザートになってメインの写真を撮り忘れたことに気付く。ここの
カフェ・グルマン(カフェと小菓子のセット)は、クレーム・ブリュレが美味しい。


黒板のENTREEのところに注目。北欧風の可愛い建物と子供っぽいインテリア。

2012年10月25日木曜日

フランスのアンティックにおける時代様式について Ⅱ

前回(Ⅰ)は余計な前置きが長過ぎましたので、きょうはいきなり本題に入ります。

【 ルイXVI世様式 】1760年-1789年
ルイ15世時代のロココ様式とは対照的な直線ラインが復活する。全体にスッキリとして細身なシェイプが主流。
家具類の脚などは真っ直ぐでカヌレと言われる縦に溝を彫ったスタイルが流行する。一説に17世紀に発見されたポンペイの遺跡からの発想ともいわれる。装飾のモティーフとしてはリボンやガーランド(花や果物を繋いだ花綱)、ローリエ、ペルル(パール)、リュボン・クロワゼ(カヌレされた棒をリボンをXに結わえたモティーフ)などの連続模様の縁飾り、ロザースと言われる丸い花形など、
この時代に考案された瀟洒な装飾パターンは数多い。
花が好きだったマリー・アントワネットの趣味も反映されているのかも知れない。
この時代に発案された家具も女性的な繊細なものが多く、ゲリドンと呼ばれる小さな丸テーブル、背もたれが楕円形の肘掛椅子、ボナー・デュ・ジュールと呼ばれる小さくて軽い書物机などいずれも小ぶりで優美なスタイルである。

20世紀初頭のランプのルイ16世風な脚(左)  カヌレやロザースが典型的な椅子(右)

マリーアントワネットの為のセーブルの皿(左)  現代のルイ16世風ゲリドン(右)

【 帝政時代(Empire=ナポレオン)様式 】1804年-1815年
1789年にフランス革命が起きブルボン王朝が一旦崩壊した後、ナポレオンが皇帝となって第一帝政を樹立するまでの15年間はフランス第一共和政時代と呼ばれるが、この混乱の時代の様式としてはDirectoire(総裁政府)様式と呼ばれるものがあり、これがEmpire様式の前身である。
ルイ16世様式の骨格を残したまま優美な装飾を排し、ギリシャ時代風なよりクラシックでシンプルなDirectoire様式及びEmpire後のRestauration(王政復古時代)様式は特筆すべき強いキャラクター性も少なく、凡そ同じ系統なので、大雑把にEmpire様式に総括されることが多い。
Empire様式の特徴は、良く磨かれたマホガニー材に真鍮の装飾を施した重厚な家具類にその典型が見られる。真鍮飾りは多くの場合金メッキがほどこされ、脚の付け根や足先、平らな面などに組み込まれたり、貼り付けられたりする。基本的なラインは幾何学的でシンメトリック。装飾のモティーフはギリシャ神話関連、エジプト関連の他、ナポレオン自身の力や闘争心を表す鷲、蜂、白鳥、月桂冠、パルメットなど力強く華麗なものが多い。

ハンドルのシェイプや絵付けの派手さが典型的なEmpireスタイルの器(上)
ナポレオンがダヴィッドに描かせた肖像画で有名なレカミエ夫人の館から
出たものといわれる1800年頃のベッド(下)

古代ギリシャの松明を模したEmpire風シャンデリア 20世紀初頭

【 ルイ・フィリップ様式 】1830年-1848年
ナポレオン失脚後、第二共和政がしかれる1848年までの王政復古時代は、ルイ18世、シャルル10世、ルイ・フィリップと続くが、時代様式的にはシャルル10世様式(1824年-1830年)までをRestauration(王政復古時代)様式と呼び、その後のルイ・フィリップ時代様式と分けている。
シャルル10世様式はEmpire様式の威風堂々たる感じが取れて優しく明るく控えめになり、素材も変わるが、基本的にはEmpire様式とほぼ同じシェイプ、似通った装飾モティーフを踏襲している。
ルイ・フィリップ様式の特徴は皮肉にもオリジナリティの無さにある。基本的には前時代までのスタイルの延長なのだが、それまでのエレガンスは維持されるどころか、さっぱりと捨て去られる。家具などの製作は機械化が急激に進み、それまでの手作業による凝った装飾などは滅多に見られなくなる。良くも悪くも近代化、平均化社会の兆しが見え始める。この時代の家具はそれまでの時代の物に比べて質朴剛健に出来ているためか、大量に作られたためか現代でもまだ本物がさほど珍しくなく見られる。また、現代物のルイ・フィリップ様式家具というものも大量に作られており、IKEAの家具を使うレベルの一段上ぐらいの中流層の定番となっている。シンプルで嫌味の無い、しかし面白みも無いスタイルである。

ルイ・フィリップ様式にしつらえたインテリア 20世紀初頭の写真

現代版ルイ・フィリップ様式の寝室  家具屋の広告より

今回はこの辺までにしておきます。次回は、ナポレオンⅢ、アールヌーヴォー、アールデコです。 どうぞお楽しみに!

















2012年10月22日月曜日

朝の散歩にて

きょうは日曜日なので、朝の散歩は例によってマルシェ方面に行きました。
市役所脇の公園も秋色が濃くなっているかも知れないと思ってカメラを持参し、夫がマルシェで買物している間、
二頭立ての子供達を片手で捌きながら、片手で撮影をしてきました。まあ、片手の割には撮れてますね。
でも、意外に秋色が進んでなくてちょっと期待はずれです。

市役所(というより町役場)の建物は小さなシャトーのような瀟洒な館で、もとは1880年頃に建てられた個人のお屋敷だったとのことです。この町はなだらかな高台に位置しているため、町のほとんどが斜面になっています。町役場を見る限りではちょっと洒落た町のようでしょう?ところが全然そうではなくて、貧乏人が多く住む本屋の一軒も無い貧相な町なのです。



町役場の脇から裏にかけて、元は館の庭園と森だったらしい斜面が公園になっており、樹齢100年以上の樹木がけっこう残っています。マロニエの落ち葉が茶色の絨毯のように積もり、久々に顔を出した朝の日の光が木々を照らして秋らしい絵になっていました。



昨日のブログに書いたロココ様式の語源となったロカイユ(岩組み)とは、もともとバロック時代に流行った造園装飾のひとつであった人口洞窟のことだとか。この公園内にも館に近い場所に洞窟があり、そういえば確かにロココですね。
庭に洞窟を作るって変な趣味だと思いませんか?



近所のお宅の庭に私の大好きなコスモスが咲いていて綺麗なので、勝手に写真を撮りました。

2012年10月21日日曜日

フランスのアンティックにおける時代様式について Ⅰ

仰々しく構えた感じの題名になってしまいましたが、そんな大論文を展開しようなんて野望は抱いておりませんのでご安心を。
フランス骨董界といっても幅広く、上はオート・エポックといわれる中世から17世紀ぐらいまでの本物の時代家具などを扱う骨董商antiquaireから、庶民の家の屋根裏から出てきたようなただ古いだけの物を扱うbrocanteurと呼ばれる業者までありますが、
expertを兼ねたantiquaireは別として、私の見るところ平均的に不勉強で時代様式に疎い人が多いです。
アールデコとアールヌーヴォーの違いさえ把握しておらず、両者を逆に思っていたり一緒だと思っていたりする業者のなんと多いことでしょう!そんな人達がいるおかげで値打ち物を安く入手することが出来たりする訳なんですけどね、実は。
かく言う私とて専門的に勉強した訳でもなく、少なからず独断的、感覚的な見解でアンティックを見ているのですが、そんな私なりの判別基準を比較的身近な物を例にとって、大雑把にまとめてみようと思います。
姉妹社ショップ陳列品の説明文の注釈として、また西洋アンティック初心者の方達のご参考として役立てて頂けましたら嬉しいです。
(ここでは本物とコピーの違い等という次元ではなく、飽くまでも様式すなわちスタイルの特徴を表すのが目的ですので、
例としてあげる画像は必ずしもその時代に作られたものとは限りません。)
中世やルネッサンス時代の様式は身近な品の中に見ることは少ないので省き、以降古い順にいきます。

【 ルイXIII世様式 】1589年-1661年
中世風な素朴さを残した重々しいスタイル。暗い色の木材にシンプルな彫刻をほどこしたり、捻り棒装飾を用いたり、タピスリー風な織布を併用した家具などが代表的。基本的なラインは直線系。シャトーホテルなどでこのスタイルの家具を置いている所が多い。

1843年出版の家具の様式に関する本の挿絵より

【 ルイXIV世様式 】1661年-1700年
ルイ13世様式からルイ15世様式に移行する過渡期的スタイル。前者の重厚感を残しながらも、より装飾的で華やかさが加わる。
家具なども生成りはほとんど見られなくなり、金銀彩、寄木模様、金属や鼈甲を象嵌したりなど、全面的に装飾が凝らされ、
派手で豪華になる。太陽王と呼ばれたルイ14世の好みが反映された華麗でパワフルな様式。ロココ様式を予感させるコキーユや植物のモティーフ、控えめな曲線が現れ始める。続くレジョンス様式(摂政時代様式1700年-1730年)ではこの傾向が一段と濃くなり、ラインが益々柔らかくなってゆく。

赤大理石、金箔を貼った脚部、コキーユの装飾のテーブル

【 ルイXV世様式 】1730年-1760年
ロココ様式と言い換えた方がイメージしやすいかも知れません。ルイ14世時代末期からレジョンス時代にかけて芽生えた曲線的な
ラインは更に女性的になり、優美さと繊細さを増してゆく。前時代まではシンメトリックだったコキーユのモティーフもいびつになり、
ロココの語源であるロカイユつまり岩のように歪みや透かし穴を見せるようになる。また、薔薇やその他の花のモティーフも使われ始める。ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人の好みが反映されたスタイルとも言われ、特にルイ16世様式への過渡期のスタイルは
ポンパドゥール様式と呼ばれることもある。短い期間であったにもかかわらず、ルイ15世様式はフランス装飾史上とても重要な位置を占め、最も後世に影響を及ぼしたスタイルといえるかも知れない。ナポレオン三世様式、アールヌーヴォー様式もこの流れを汲むものであるばかりか、近代、現代に至るまで執拗に模倣および借用され続けている永遠のスタイルである。

木彫のロカイユが典型的なコンソール

アールヌーヴォーとロカイユのコーディネート(左) ジャポニズムとのマリアージュ(右)

この後、ルイXVI、ナポレオン、ルイ・フィリップ、ナポレオンⅢ、アールヌーヴォー、アールデコと続きますが、きょうはこの辺で。






2012年10月18日木曜日

パリ13区の中華街

相変わらず雨です。なんかパリは雨期に入ってしまったかのようです。
3日間もブログを休んでしまいました。ちょっとだけお仕事が忙しかったのと、書きたい事が思い浮かばなかったのです。
きょうこそはブログを、と勢い込んでカメラを持って出かけたのですが、昼食をするつもりだったお気に入りの和食レストランが何故か電話が繋がらず、仕方なく予定を変えて中華街に行くことに。
その前に7区に注文していた骨董品を取りに行ったのですが、なんとキズがありキャンセルするはめになり、今日は番狂わせなことばかりの日でした。
行く筈だったレストランのお料理はとても綺麗で絵になるし、ブログに載せて読者を羨ましがらせようと張り切っていたのに残念です。
パリ13区の中華街には何百軒ものレストランがひしめき合っているのですが、そんな中でミシュランに載っている純正(タイやヴェトナムとのミックスタイプではない)中華料理店はたったの2軒、(パリ全体でも9軒)その2軒のうちの1軒『アンペリアル・シュワジー』が私達の行き付けの店なのです。ここは安くて美味しいという私達の鉄則にまさしく適った店で、ごく普通の家庭料理っぽい広東料理なのですが何を食べても実に美味しいのです。混み合うのが玉に瑕ですが、おすすめですよ。

海老のスリミをイカで巻いてカリっと揚げたもの。ビールに最高。

琵琶豆腐。中華式ガンモドキ?ここで必ず食べる私達の定番。

海鮮かたやきそば。夫の定番。

この他に鴨とキクラゲの炒め物も食べたのですが、写真がちょっとグロテスクだったのでお見せするのは控えました。これだけ食べてビールを3本飲んで、6000円ぐらい。量も多く、食べ切れなかった分は持ち帰りました。
写真が今一美味しそうに見えませんが、美味しかったです。
食後、『TANG フレール』で買物をして帰りました。

高層アパートが林立する中華街の谷間にあるTANG兄弟のスーパー。

TANGフレールの入口も秋の装いに。

雨の中華街。街路樹が秋色になっていた。帰りの車窓から。

2012年10月13日土曜日

オールドバカラの型物について

昨日は少しだけ青空が垣間見えましたが、今日はまた朝から曇っていて小雨もぱらつく寒空です。
素晴らしい秋晴れの日は何処かに出かけたくなってソワソワしますが、こんな天気の日は暖かい家にこもって
仕事をしようという気になるので、今の私にはむしろ好都合かも知れません。

きょうはオールドバカラの重要なパートのひとつである型物の代表的なパターンについて、書いてみたいと思います。
型ガラスの技法はアメリカが先だったようですが、フランスには1825年頃に伝わり、バカラでも1830年代には既に様々な型による製品が作られていたようです。吹く工程が省かれて大量生産が可能になり、クリスタル製品の普及化が一気に進みました。
現在まで続いている型パターンも何種類かありますが、19世紀後半から20世紀初頭にかけてバカラでは実に多種多様な型製品が展開されました。気に入ったパターンの型製品だけコレクションしても楽しいですし、実際コレクターも多いようです。
因みに型物にBACCARATのロゴが入るようになったのは1870年代後半ですし、フラコンやキャラフなど吹き併用の型物にはマークが入りませんので、ノーマークの型製品も少なくありません。
アンティック姉妹社のバカラ製品にも型物が多数ございます。こちらからご参照ください。
下の画像(クリックすると大きく見られます)の説明は主にパターンネームです。

1893年版バカラ型物カタログ(ベルギーの出版社より出版された復刻版)
 Moulure Russeムリュール・リュス   パターン名無しのギャルドナップ
 Rosaces multiplesロザース・ミュルティプル  Bambous torsバンブー・トール
Diamants pierreriesディアモン・ピエールリー Diamants biseauxディアモン・ビゾー
上 Cotes alternees depoliesコート・アルテルネ・デポリー
下 Diamants carresディアモン・キャレ

2012年10月11日木曜日

アンペラトリス・ユジェニーについて

ここ3日ほど霧雨まじりの陰鬱な空模様が続いております。
昨日は何もする気がせず、終日ウダウダと無為に過ごしてしまいました。こんなことではいけません、太るだけです。

主人が姉妹社向けに品物の写真を撮ってくれたので、きょうから頑張って作業をしようと思います。
で、品物の中にHAVILANDのImperatrice Eugenieのお皿があったのですが、ふとこのユジェニー妃について思いを巡らせてしまい、悪い癖でまた仕事をしないで興味の趣くまま色々調べる結果に…。
ユジェニー妃は才色兼備の偉大な女性で、当時のファッションリーダー的な存在でもあったようです。彼女の発案や好みによって、
また彼女に捧げるために様々な物がクリエートされたという、或る意味、夫である皇帝ナポレオン三世より有名かもしれません。
いわばマリー・アントワネットの再来のような魅力的な存在であったかと思います。せっかく調べたので、ご披露しますね。


彼女のプロフィルはこちらから


肖像画もたくさん描かれている。


8年ほど前に立ち寄ったビアリッツの夏の宮殿。こちらをご参照ください。


HAVILANDのお皿(6枚セット)1950~60年代製


2012年10月10日水曜日

ジョルジュ・バルビエの秋

秋は好きです。色彩的にも味覚的にも嗅覚的にも、一番好きな季節です。
きょうは私のバルビエ・コレクションの中から秋色をした作品を2点ご紹介します。ジョルジュ・バルビエは私がパリに来たばかりの頃、初めて作品に出会い、一目惚れしてしまったイラストレーターです。美しくて妖しくてロマネスクで、しかも洗練されていて… 彼の作品以上に魅力のあるイラスレーションを私は知りません。
この作家についての詳しい情報はインターネット上で調べられますので、ここでは解説いたしませんが、私が共感が持てた興味深い日本語のブログを発見いたしましたので、お好きな方はこちらからご覧ください。

 
VICHYⅡ 1915年のガゼット・デュ・ボン・トンに掲載されたモード画。夏色ヴァージョンのVICHY Iもある。

ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』の挿画

2012年10月8日月曜日

きょうは日曜日

この稿は昨日(7日)書きかけたまま、bloggerの不具合か我家の接続状況が悪かったのか写真がアップできず中断し、
今朝(8日)続けております。
ほぼ『サンデー毎日』な私達ですが、それなりに日曜日は何となく気持ちが和みます。
朝はまず、子供達のお散歩を兼ねてみんなでマルシェ(市場)に行きます。夫が買物袋を持つと、もう子供達は嬉しくて大はしゃぎ。何故かマルシェが大好きなのです。マルシェの入口近くで一旦解散し、私と子供達は公園へ、夫は買物に。それぞれお散歩と買物を済ませ、またマルシェの前で合流します。
きょうは夫がカメラを持っていき、私のブログの為にマルシェの中を撮影してきてくれました。
(しつこいようですが、画像をクリックすると大きく見られます。それと、私がブログを書いている今、こちらは日曜日の夕方なのですが、日本はもう月曜日になっています。)

果物を綺麗に積み上げるのがこちら流(左) 各種オリーブが並ぶアラブ人の店(右)
 
夫が必ず買物をする魚屋。瓶に入っているのはスープ・ド・ポワソン
マルシェから帰ってきたら、隣のご主人ファブリスが最近替えたばかりの愛車Harley Davidsonを車庫から出して乗りに行くところでした。仕事の虫のファブリスも日曜日だけは趣味を楽しみます。前のバイクの時はサイドカーを付けて娘のシャルロットを乗せて遊んでいました。

我々の家の前の広場とファブリスのハーレー。 最近太って貫禄十分のファブリス。

残念ながら我家ではありません。広場越しに見える2軒おいて隣のシャトー。

お昼はマルシェで仕入れてきたコキーユ・サンジャックとフリテュール(揚げて食べる小魚)とシャピニョンのフリットミストでした。
写真を撮ったのだけれど見栄えが良くなかったのでお見せしません。お味は良かったです。
お供のワインは、ここ数年来ワインフェアーで毎年買っている我家の大ヒット『RULLY Premier Cru CLOS LA BRESSANDE』。
ブルゴーニュの白で、2005年ものは最高。きょう飲んだ2009年もなかなかです。Meursaultに匹敵する実力でありながら、
値段は三分の一。いまや我家のcaveの四分の一のスペースを占領している超お気に入りワインです。

日曜だから、ちょっといいワインをとっておきのサン・ルイのグラスで…

2012年10月7日日曜日

またしてもサンス

JOIGNYから家に帰る途中SENSの街に寄ったのには実は訳があったのです。もう見当が付いた方もいらっしゃるかと思いますが、
そう、行ってみたいレストランがあって、うまく時間が合えばそこでお昼を、という下心があったのでした。
ところが、ゆっくり街を見物したにもかかわらずお昼には早過ぎたのと、お店の前が全面的に道路工事で食事という雰囲気ではなかったので、諦めたのです。パリから120kmの近場だし、また来ようということで、後ろ髪を引かれながらも家路についたのでした。
そのお店というのは、ミシュランの2★(今年は1★になってました)のフランス人のオーナーシェフが隣に作った和食レストラン『MIYABI』という店で、日本から料理人やサーヴィス係やらスタッフ全員を呼び寄せてやっているとのことです。
今回は行きそびれましたが、いつか行きましたらご報告しますね。まだ見る所がありそうな街でもあることですし。

街の大きさに対して驚くほど立派な市庁舎

これまた立派なマルシェ。催事場として使っているようだ。

路地裏にこんな洒落たことやっている家が...

商店街のメルスリーのウィンドウに鎮座していたアブストラクトな犬

2012年10月6日土曜日

金木犀の香りが庭に漂って

今朝、庭に出たら金木犀の香りが殊の外芳しく漂っておりました。たしか、一週間ほど前から香り始めたと思うのですが、目立たないまだ小さな木で、花も極小なので、香り出してやっとその存在をいつも思い出すのです。
ほんとに良い匂いですよね、金木犀って。大好きです。フランスには無いようなので、数年前に日本から苗木を持ってきて植えたのです。あまり調子よくはないのですが、何とか生き延びて育っています。この香りを嗅ぐと郷愁を覚えます。
ミリメートル単位の花なので目で見ても良く見えませんから、写真をマクロで撮ってみました。あまり綺麗に撮れてはおりませんが、画像を見るだけで香りを感じてしまうのは私だけでしょうか?

こんな可愛いお花だったのですね…

バラの木に絡みついた朝顔がまだチラホラ咲いている

ミニ・シクラメンがひっそりと…

まだ青くて目立たないけれど去年お休みした柚子が今年は鈴生り。