2015年12月28日月曜日

NOËL @ HONFLEUR オンフルールでノエル

去年も一昨年もそうだったけれど、今年もホワイト・クリスマスならぬグレー・クリスマス、雨のクリスマスでした。
姉妹社ファミリーは、ノルマンディーのオンフルールから3kmほどの小さな村にあるオーベルジュで今年のノエルを過ごしました。
オンフルールには数回行っているけれど最後に行ったのは2010年のOの誕生日、5年ぶりの訪問です。
天気予報どおりグリザイユな空模様、降られなかったのがせめてものあまり楽しくないドライブだったけれど、道は空いていて2時間ほどでオンフルールに到着。
新港の水路脇のパーキングに車を置き、子供達を横の公園でお散歩させた後、お昼の食事処を探しに旧港付近へ向かいました。

旧港入口の総督邸(17世紀の建物)が修復工事中で美観を損ねているのが残念!
一年中観光客が絶えない名所ではあるし、ノエルは書き入れ時かと思いきや、案に反して開いているレストランや店が少なく、美しいはずの旧港もなんだか寂しい…。
朝食が早かったのでお腹が空いていたし、我慢していた用事も足さなくてはならず、とりあえず港に面したカフェ風レストランに入りました。
Oはスープ・ド・ポワッソンとエイのヒレのメニュー、私はア・ラ・カルトでラングスティーヌとカキを6個ずつ前菜に、スープ・ド・ポワッソンをメイン、デザート無しという軽食ランチ。
サンセールの白1本と食後のカフェを入れて93€なり。 安いような高いような、可もなく不可もない食事でしたが、グリザイユながら旧港を眺めつつ旅情だけは一応味わいました。

食後、今にも降り出しそうな陰鬱な寒空(寒くはなかったけれど)の下、久々のオンフルールの街や教会を訪ね、カルヴァドスやお菓子をお土産(自分達への)に買ったり、積極的にノエル気分、旅行気分に若干無理やりに浸ったのでした。

到着時、一瞬日が射した新港。一応『あ、海だ!』って、瞬時気分が盛り上がる。

ランチのレストランのテラス席から透明な覆い越しに撮った旧港。文字通りお座なりにて失礼!
風が強く、水面にはさざ波が立っていて反映が無いし、雲が低いのでモノトーンで寂しい。

グリザイユにわずかに色を添える対岸のレストランの赤い木枠とテントが目を引く。
父の喜寿祝いに両親と妹がパリに来た時に、日帰りでここを訪れた際ランチをした店のようだ。

街のシンボルになっている有名なサント・カトリーヌ教会と鐘楼。15世紀、100年戦争が終わって英国人が引き上げたことを神に感謝するために、船大工によって再建されたフランス最大の木造の教会。
左隣は16世紀の家や塩の貯蔵庫を改造したホテル『メゾン・ド・レア』。

 
サント・カトリーヌ教会の内部。天井をライトアップしてくれていたら船っぽさが良く分かったのに…。

祭壇周りのステンドグラスが美しい。ノエルなのでキリストの十字架像がライトアップされ、綺麗に花が活けられていた。
Lisieuxが近いからかも知れないけれど、多くのノルマンディーの教会に祀られているサント・テレーズがここにも。

祭壇の横に大きなクレッシュ(人形などでキリスト生誕場面を再現した模型)が設置されていた。
飼い葉桶にはやはり幼子イエスがいなかった。前にも教会のクレッシュの飼い葉桶が空なのを見て盗まれたのかと思ったけれどここに至ってやっと謎が解けた。いないのは当り前、だって24日にはまだイエス様は生まれていなかったのだから。25日の0時に置く慣わしなのだそう。なんて無知な私…。

シックなお店がたくさんあるオンフルール。このキャラメル屋さんの素敵なこと!

お隣のリエット屋さんのウィンドウディスプレーは、なんとハイカラな鯉のぼりですよ。
普通リエットは豚や鴨などのお肉だけど、ここのはシーフードで作られているらしい。
買いたかったけれど、昼休みで閉まっていた。

普段は賑やかな通りも閑散としていた。左側の赤塗の店の隣のバニラ色の店がミシュラン2★の『SaQuaNa サ・カ・ナ』。
5年前のOの誕生日ディナーはここだった。右の写真に辛うじて映っている総督邸の覆いを被っていない一部。

グレー・クリスマスもこうして写真で見るとなかなかシックで悪くないですね。
ウィンドウ越しに美味しそうに見えたお菓子を少し買い、外に出した樽の上で試飲をさせてくれたV.S.O.P.カルヴァドスが美味しかったので1本買い求めたりするうち、ついに雨が降り出したので車に戻り、少し早いけれどホテルに向かいました。
ホテル編はまた次回のブログでリポートします。お楽しみに。

2015年12月20日日曜日

サン・ジェルマン・アン・レー(続編) モーリス・ドニ美術館

Pavillon Henri Ⅳで昼食をしたためた後、私達はこの街にあるMusée Maurice Denisに行ってみました。
ナビ派の中心的アーティストであったモーリス・ドニ(1870年-1943年)の作品はテアトル・デ・シャンゼリゼの天井画や書物で馴染みがありましたが、展覧会や美術館で作品を集中して見たことはありませんでした。
私の好きな時代色の濃い作家で興味があり、お客様も美術鑑賞のお好きな方なので、意気投合していそいそと向かいました。

美術館は、17世紀末にモンテスパン侯爵夫人が施療院として建てた古い建物を、モーリス・ドニが1914年に買い取り、庭や内部を改装しアトリエ兼住居ととして家族と共に暮らした家で、ここで彼の作品の大半が生まれ、多くの友や弟子を迎えた場所でもあったとのことです。
敬虔なキリスト教徒であったドニがこの家を≪Le Prieuré≫(修道院)と名付けただけに、静かな佇まいの趣きのある美術館でした。

庭にアントワーヌ・ブールデルの彫刻『瀕死のケンタウロス』や『弓を引くヘラクレス』があった。
冬枯れた庭に柿の実が絵に描いたように残っていたり…

美しい色彩のナビ派的なステンドグラス『人生の道』M.D.1895年
代表作の一つ『木の葉の中の梯子』はアール・ヌーヴォー的。M.D.1892年

『キリストの墓を訪れる聖女たち』(副題:復活祭の朝)M.D.1894年


シャルル・ラコスト作『雨の中の人々、ボルドーの橋の上で』1893年
エドゥアール・ヴュイヤール作『サン・ジェルマンのモーリス・ドニの家の中』


『ペロス・ギレック(ブルターニュの港町)のヨットレース、西の桟橋から』M.D.1897年


館内の小さなシャペル。祭壇脇の美しい天使像。
宗教画家でもあったドニの傑作『キリストの生涯』のステンドグラスをはじめ、
壁画、天井画などこのシャペルは彼の作品の集大成ともいうべき圧巻。1928年完成。


『プリウレの前の自画像』M.D.1921年
『ランソン夫人と猫』 M.D.1892年 


『メルサンの産院にて』M.D.1896年
テオ・ファン・リッセルベルゲ作『マルト・ドニ(ドニ夫人)の肖像』1907年


館内の其処此処に美しいステンドグラスが嵌ったドアや窓がある。
真ん中は、『ジャンヌ・ダルクの生涯』。


『ロレンゾ・ディ・クレディ風裸婦(マルトの肖像)』M.D.1898年
ちょっとしたコレクションが飾られらたガラスケース。ドームの花瓶やパット・ド・ヴェールなど。

大作もたくさん展示されていたのですが、館内で大人のお絵描き教室が開かれている日でお邪魔にならないよう遠慮してじっくり撮影できなかった所もあったり、あまり写真を多く撮ってきませんでした。
モーリス・ドニの作品はカラフルで装飾的、それでいてけばけばしさはなく温かく懐かしさを感じさせます。
なかなか見応えのある美術館でした。良い季節にはお庭の散策も楽しめそうです。
(作品説明文中、M.D.とあるのはモーリス・ドニの略です。)

2015年12月13日日曜日

曇り空の下、サン・ジェルマン・アン・レーへ

もう10日も前のことになってしまいましたが、日本からのお客様と一緒にパリ近郊の城下町Saint-Germain-en-Layeに行きました。
セーヌ河を見下ろす高台にあるこの街は、お城の庭園のテラスからの眺望が素晴らしいことで知られており、私達も昔はドライブやピクニック、食事などにしばしば訪れたものです。
もう何年もご無沙汰だったのですが、今回大切なお客様をとびっきり素敵な所にご案内したくて久々に参りました。
雨こそ降らなかったけれど残念な曇り空、それに中途半端な季節で風景も今一つでしたが、
お客様には楽しんでいただけたようで、何よりでした。

遠くに見える丘の左側に突き出しているのがエッフェル塔。
手前のセーヌ河を大きなペニッシュが下って行く。お天気が良かったら絶景なのに…

秋色がまだ少し残っていて意外に綺麗だったけど、お天気が良かったらもっと綺麗なのに…

ず~っと向こうまで並木が続いていて壮観、でもやっぱりお天気が…しつこいですね。

庭園の端にあるシャトー・ヌフ(の残された一部)。19世紀初頭からパヴィヨン・アンリ・キャトルという名のホテルになっている。
アーチ形の門や館の壁の揺り籠文のメダイヨンに『ルイ14世ここに生まれり』と書かれている。この日の昼食はここでいただく。

ホテルのエントランス。勝手に入って振り返るとこんな風。誰も出てこないけどズイズイ入っていいの?

玄関ホール。お花は見事だけれど、どうでもいい物が其処此処に。
白い扉の上に『アンリ4世の館ミュージアム。ルイ14世が生まれた寝室。国家指定歴史的モニュメント』という表札があり、
本来なら見学できるらしいが、この日はセミナーに使われていて入れなかった。
向かい側の大広間に続く入口を入ったらやっと人に出迎えられた。廊下の左側がダイニングルーム。

館は高台の崖っぷちに建っているので先ほどの庭園のテラスからの眺めに負けない食卓からの眺望がパノラミックで気持ちが良い。
これが何よりものご馳走。アミューズは温かいカボチャのヴルテ。

Oの前菜は大海老の衣揚げ付きサラダ。女性3人はフォア・グラのロースト、栗の泡立てソース。

Oのメインはメダイヨン・ド・ロット(鮟鱇のベーコン巻き)。私は魚貝と葱のマルミット(シチューのような)。

Oのデザートは季節の果物のクランブル、キャラメルアイスクリーム添え。
私は柑橘類のパンナコッタ、柚子のソルベ添え。
お客様達はレモンのメレンゲタルト、リモンチェッロのソルベ添え。


お料理は、食材と調理のテクニックは良いのですが、味が濃過ぎるのと量が多く美的センスに欠ける点が私にはちょっと『難あり』でした。
でも、良い季節にあの景色を眺めながらゆったりと食事するのは、他では得られない贅沢だと思います。
眺めと食べ物に気を取られ、ダイニングルームの写真を撮るのを忘れてしまったので、こちらからHPをご参照ください。

『アンリ4世の館』という名前なので、歴史に弱い私はてっきりアンリ4世が生まれた館だとばかり思いこんでいて、はたまたアンリ4世とルイ14世は同一人物?なんて馬鹿なことをお客様にも言ってしまったのですが、実はアンリ4世があのシャトー・ヌフを建てさせた王様で、あそこで生まれたのは太陽王ルイ14世だったということを後で知りました。
N子さま、S子さま、このブログをもし読んで下さってたら、ごめんなさい。間違いました。