2016年3月11日金曜日

アール・ヌーヴォーの街ナンシーにて

もう3週間も前のことですが、所用あってNancyに行ってきました。
Bettyが抗癌剤治療で一泊入院する日だったので、Bokuだけ連れての一泊旅行でした。
Nancyのオークションハウスにlive(ネット)で落札した品物を取りに行くのが目的で、TGVで日帰りも考えたけれど、結局車で泊りがけで行くことに。
勿論品物を送って貰うこともできるのですが、以前壊れそうもない物ばかりを送ってもらったのに殆ど壊れて届いた苦い経験をしているので、往復700km以上もあるのに出向いたという訳です。

Nancyはナンシー派アール・ヌーヴォー発祥の地だけに、今でもアール・ヌーヴォー関連の品がよく競売にかかり、10年ほど前にも泊りがけでオークションに出かけ、多数落札したことがありました。
当時はネットでlive参戦なんて未だ無かったので、遠隔参戦は電話か書面での事前入札しかなかったのです。
遠いし、送らせるのは危ないし、というのでこの頃はNancyの競売は無視することにしていたのですが、今回ばかりは魔がさしてウッカリ入札してしまい、どうせ取れないと思ったらスンナリ落ちてしまい、どうしよう!と指を噛んだのでした。

雨が降らなかったのがせめてもの曇り空で寒い日でした。
病院に預けてきたBettyのことも気にかかるし、11年ぶりのNancyの街を歩いても今一つ興が乗らなかったのですが、私の気分は別として、客観的に見てナンシーは美しい古都であると再認識しました。
今回で6回目の訪問になり、ナンシー派美術館も4回ぐらい見ているので、時間の余裕も無かったしBokuもいるので今回は諦めました。
ナンシー市立美術館のDaumコレクションをもう一度見たかった…。それだけが心残りです。

ユネスコの世界遺産に指定されているスタニスラス広場(1755年完成)の一画。右奥の建物はオペラ座。

上の写真左側のCaféで一休み。窓際の席からテラス越しに見た世界で最も美しい広場(の一つ)。

広場の二隅にある有名なグリルと、フォンテーヌ(こちらはポセイドン)。

もう一方のグリルとフォンテーヌ。こちらはアンフィトリテ(ポセイドンの妻)。

散策に疲れ、ホテルへ戻る。カテドラル(右)の隣に引っ付いた館がホテル・デ・プレラ。

17世紀の建物だけに古めかしく床がミシミシ、可愛らしい天蓋付きベッド。
安いけれど趣味も設備も場所も良く、快適なホテルだった。

親切でやり手のレセプションのお姉さんが予約してくれたブラッスリー・フロー・エクセルシオール。
駅前にある1910年創業の有名なアール・ヌーヴォーのレストラン。今はFloチェーンが経営。

40年近く前、最初にナンシーを訪れた時には荒れ果てて残念な駅前カフェになり果てていた。
Floはそんな歴史的価値がありながら落ちぶれかけた店を次々買収して良く復興させている。

ホテルのお姉さんから渡された予約カードを出すとミラベル入りのシャンパンフリュートがオファーされた。
プラトー・ド・フリュイ・ド・メール(海の幸の盛り合わせ)とSaint-Aubinの白で軽い夕食、の筈が
欲張って魚のシュークルート(半分ずつ)とデザート(ソルベ)という蛇足が…。野暮ですねぇ。

帰りに通ったスタニスラス広場。夜景もなかなか。でも、私のカメラ、夜景はダメみたい。

広場からホテルの隣のカテドラルを望む。寒い中けっこう歩き、ホテルにたどり着く。

よく晴れた翌朝、朝陽の当たるタニスラス広場。左側に修復工事中の市庁舎。
黒っぽい銅像がスタニスラス(旧ポーランド王にして、ロレーヌ候、ルイ15世の義父)像。
右の建物はナンシー市立美術館。ここにDaumのコレクションがある。

朝陽を浴びて輝くグリル。右はArc Héré(エレ門)。エレはスタニスラス広場を設計した建築家。

鍛鉄に金箔で装飾した美しいグリル。ジャン・ラムールの傑作。ロココ芸術の粋といわれている。
私にはむしろナポレオン三世風に見えるけれど。