2014年9月27日土曜日

『神のランタン』METZの大聖堂

もうかなり古い話になってしまいましたが、アルザス・ロレーヌ小旅行の折に立ち寄ったMETZ(フランス語読みではメス、ドイツ語読みではメッツ)の街の大聖堂はとても立派で、色々な時代のステンドグラスが素晴らしかったので、写真をご覧に入れたいと思います。
正式な名称はCathédrale Saint-Etiennneサンテティエンヌ大聖堂といいますが、『神のランタン』というニックネームでも呼ばれます。
何故かといえば、ステンドグラスの占める面積が非常に大きいからなのです。なんとステンドグラスの総面積が6500 ㎡あり、フランスのみならずヨーロッパ中で最もステンドグラスの多い聖堂なのだそうです。
1220年から1520年まで300年かかって建てられた聖堂は、基本的にはゴティック様式ですが各時代の修復により、部分的にネオ・クラシックやネオ・ゴティック様式も入っており、ステンドグラスに至ってはシャガールやジャック・ヴィヨンなどの近現代の芸術家の作品まであります。

 天気が悪かったので街は少ししか歩けなかったが、とある広場で見かけた聖母子像と街角の建物の装飾。

 大聖堂の正面入口と扉の周りの彫刻。

 偉容を誇る大聖堂。パリのノートル・ダムより大きいように感じたけれど実際はそうでもないらしい。
 左は16世紀、右は15世紀の作品。

 これは?いつのか判りません。

 とにかく天井が高い!右の薔薇窓は14世紀の作品。

 定かではないけれど19世紀末っぽい美しい受胎告知のシーンなどの作品。

 シャガールの1959年の作品。イブの林檎と大蛇のシーンなど。

1956~1957年のジャック・ヴィヨンの作品。アブストラクトだけれど色が美しい。



2014年9月8日月曜日

マイゼンタールのガラス博物館

BaerenthalのL'ARNSBOURGで至福の時を過ごした私達は、その余韻に浸りながらもお勉強と観光を兼ねてMeisenthalのガラス博物館に寄りました。
それにしてもアルザス・ロレーヌ地方には、昔も今もなんとガラス工場が集中していることでしょう。
Saint-Louis、Baccarat、Lalique、Gallé、Muller、Daum、名だたるガラスメーカーは皆この辺り、正にガラスの里です。
サン・ルイの近くにあるこのマイゼンタールのガラス工場で、エミール・ガレはガラス工芸の基礎を習得し、ナンシーに本格的な自社工場を開くまではガレのガラスは主にここで作られたのです。
アンティック・ガラスを半ば専門的に扱っているAntique 姉妹社の店長としては、ここを素通りする訳にはいきません。

ミュゼそのものは、小ぢんまりとしてローカルでアット・ホームな感じ。地元のご隠居さんみたいな人達(おそらくヴォランティア)が何人かで館内をガイドしてくれるのも微笑ましい。
階下は『ガラスが出来るまで』が素人に分かるような学習スペースになっており、階上がアールー・ヌーヴォーのガラスの展示室になっています。
ラリックやサン・ルイのミュゼのように然るべき学芸員やデザイナーによって運営されている本格的な美術館という雰囲気では全然なく、むしろガラス専門の高級アンティック・ショップのようでした。
規模は小さいけれど、なかなか素敵なコレクションで、ガレの初期のエナメル彩作品やDaum、Mullerなどもありました。
特にここで制作されたデジレ・クリスチャンなどの手になるBurgun Schverer & Cie社の作品は、他では滅多に見られない稀少で美しいもので感動しました。

後でカタログか本を買えば良いと思って、説明を見ずに作品ばかり鑑賞したのは失敗でした。そんな気の利いた資料など売っておりませんでした。
そういう訳で、解説抜きの写真だけですが、よろしければご覧下さいませ。
MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)のサイトに掲載されているマイゼンタールに関する記事もご参照ください。










2014年9月3日水曜日

憧れの3★レストラン『L'ARNSBOURG ラルンスブール』で昼食を!

既にお察しの方もいらっしゃるかと思いますが、今回のアルザス・ロレーヌ小旅行、三つ目の目的は三ツ星レストランL'Arnsbourgで食事をすることだったのです。
前回この地方を訪れた時は、このレストランちょうど年次休暇に入ったところで惜しくもチャンスを逸したのでした。
ルレ・エ・シャトー加盟の素敵なホテルもあるのですが、犬ダメだし、宿泊先のBitcheから車で30分ぐらいの近さなので、お昼をいただく事にしました。

雨の降る森の中をクネクネと走り、漸くたどり着いたら駐車場が満車状態。Voiturier(駐車係)もいないようで途方にくれていたら、コック服の中年男性が傘を持って現れ、車を誘導してくれたのですが、顔を見たらなんとシェフその人だったのです。
夫が指示に従って駐車をしている間、車から降りて店の人を探してウロウロしていた私は、彼が差し掛けてくれた傘に入り『ムッシューKleinですよね?』と声をかけたら『ウィ』なんで知ってる?という顔をしたので、ずっと前からここで食事するのが夢だったと言ったら嬉しそうでした。
写真では怖そうに見えたけれど意外に純朴な感じで、本に載っていた日本人のソムリエールの事を私が尋ねると『ヨシコは、もうここにはいなくて今はオランダにいるんだけれど、今週初めにヴァカンスでここに遊びに来てたよ。』などと、とても気さくでした。
三ツ星レストランのシェフといったら有名人で、ただの一見の客に過ぎない私達など恐れ入ってしまうところですが、Voiturier役を買って出るなんて思いもよりませんでした。
夫など車を駐めながら『Kのやつ、何をvoiturierのオッサンと話し込んでんだろう?』と思っていたそうで、車から降りて私にシェフを紹介されてビックリしておりました。

 雨が降っていたけれどガラス張りの客席からのパノラミックな眺望は十分素晴らしかった。
私達の席はちょうど小川の真上の窓際で、外も室内も見渡せるとても良い場所だった。

 珍しく位置皿の置かれていないシンプルなテーブルセッティング。メニューもカッコ良い。
レストランを仕切っているマダム(シェフのお姉さん)も全く気取りが無く、もてなし上手。

 アペリティフはソムリエのお薦め地元産のMuscatにしたが、セックでありながらフルーティな良い酒だった。
可愛らしいお菓子のようなアミューズ各種。説明された内容は覚えていないけど、どれも美味だった。

 スウィート・コーンのヴァリエーション。コーンなんて…と思ったけれど上品で頗る美味しかった。
右はグリーンピースのソルべとムース、だったような?

 私のチョイスは、トマトのコレクション。左のお皿を食べ終えると下から右のお皿が現れるという仕掛け。

 左は夫が選んだ鱈の料理、リュバーブとフヌイユ添え。ヴェルヴェーヌ(ハーブティー)入りオイル。
右はシェフのスペシャリテ、有名なポテトとトリュフのカプチーノ。美味しかった!

 ワインはお昼なので1本だけ。軽くてオールマイティなアルザスのピノ・ノワールにした。
これがブルゴーニュ顔負けの素晴らしいピノ・ノワール。アルザスにこんな凄い赤ワインがあるなんて!
実際はもっとイケメンの若いメートル・ドテル。身のこなしが優雅で完璧。

 私の小鴨のラケ(照り焼き)、コーンのフランとフランボワーズのムース添え、ハイビスカス・ティー風味ソース。
夫の子羊の肩肉、お米のクレーム、人参と金柑、黒ニンニクのコンフィ添え。水のグラスはLalique(現代の)。

 『発見への招待』と名付けられたデザート。美味しさもさることながら、美しさに見惚れる。
食事の最後の小菓子。コーヒーといっしょにバー・ラウンジでいただいた。

 ゆったりとしたバー・ラウンジ。鰐皮風なソファやアジアン・テイストな調度品というよく分からないインテリア。

 雨が止んだので食後、庭を少し散歩した。私達が食事したのは左側の高床式建物。きれいな水が流れる小川。

 緑に包まれたARNSBOURG。元々は木こりの宿泊所だったそう。冬景色も見てみたい。

Kleinシェフの初めての本『素材の錬金術』。とても素敵な料理本(というよりアート本)。サインして貰って購入。
右はホームページからの抜粋。こちらからご参照ください。

美味しくて、美しくて、快適な『良い食事』は私達を幸せにしてくれます。良くない食事をすると悲しくなります。人生を無駄遣いした気になります。
L'ARNSBOURGでの食事は、私達のこれまでの食事体験上でも最良のものでした。
申し分なく行き届いた実に感じの良いサーヴィス、美しく、味わい深く、洗練されたお料理、気持ちの良い環境、全てに真心が感じられ、本当に幸せな時間を過ごしました。
美食ジャーナリストのジル・ピュドロフスキー氏が巡礼のように毎年通っている、という気持ちがよく分かりました。
私達は毎年という訳にはいきませんが、また行きたいレストランが1軒増えたのでした。

《追記》この日いただいたコースは"Au Gré du Temps"(季節のメニュー)98€。飲物を入れて二人で306€(約42.000円)でした。3★で、この内容で、このお値段!絶対お得です。