2014年11月13日木曜日

バカラ250周年記念 《LA LEGENDE du CRISTAL》展 -その4-

寒くなりました! 今朝などダウンに手袋、マフラーという冬のいでたちで子供達の散歩に行きました。
庭の柚子が黄色く大きくなってきて、そろそろ収穫しないといけないのですが、なんだか小忙しくて焦り気味なこのごろです。

さて、予定より大幅に長引いておりますバカラ展のリポート、漸くこれが最終回になります。
ほぼ展覧会の順路に沿ってつまり時代の流れに沿ってご紹介してまいりましたが、最終回は待望のアール・デコ時代です。

1925年にパリで開催されたアール・デコ博-装飾美術(アール・デコラティフ)と近代産業美術万国博覧会ーの
Baccarat-Christofle館の中央に吊るされた156灯、高さ2.8mの大シャンデリア『噴水』。
共に出品されたグラスセット『噴水』。いずれもジョルジュ・シュヴァリエの作品。

同じく1925年アール・デコ博出品作品群。香水メーカー各社の為の香水壜(展示用ケースもデコっぽく素敵)。
ジョルジュ・シュヴァリエ作大鉢(これを買い損ねた苦い思い出あります)。金属台付き魚型(?)花瓶。

やはりアール・デコ博出品シュヴァリエ作品。17世紀の有名な船長の名を冠したグラスセット『ジャン・バール』。 1930年に時のウェールズ公お買い上げのグラスセット『ヨットのために』

ジョルジュ・シュヴァリエ作品群。色被せ、カットの酒器1931年。アイスペール『お昼寝』1929年。
ニースの(当時の)有名ホテルの名を冠した酒器『アトランティック』1930年。

シュヴァリエ作品が続きます。左は『ジョゼフィン・ベイカー』と呼ばれる角皿。
1931年作だが1947年にJosephineがJo Bouillonと結婚した時に注文され、JJのイニシャルが入っている。
右はインドールのマハラジャから注文された金属のホルダー付きグラスセット『パレゾン』1931年。

シュヴァリエ作品群。ペンダント1932年。カンヌのパラスホテルの名を冠したグラスセット『マジェスティック』1930年。
1937年パリ万博出品のグラスセット。

1937年パリ万博出品のシュヴァリエ作グラスセット。左から『n°23』、『レクザンスカ』、『アヴィラ』。

上から続いて、『オレル・ド・パラディーヌ』。
これらのグラスはクリスタル・ムスリーヌ(モスリン)と呼ばれる極薄で軽いタイプ。1930年代に特に好まれた。

展覧会のフィナーレを飾るシャンデリアの部屋。7台(多分)のゴージャスなシャンデリアが1台ずつ順番にゆっくりと明るく灯る趣向。まるで『王宮の花火』を観るようだった!

豪華絢爛!圧倒される美しさ

光がクレッシェンドしたり、ディミニュエンドしたり… まるで灯りが音楽を奏でているよう

これらのシャンデリアの昔のデザイン画。

お疲れさまでした!展覧会は来年1月4日まで開催されますので、もしそれまでにパリにいらっしゃるご予定の方、そしてバカラやガラスやアンティックがお好きな方は是非プティ・パレまでお運びください。詳細はこちらをご参照くださいませ。

2014年11月9日日曜日

バカラ250周年記念 《LA LEGENDE du CRISTAL》展 -その3-

我家御用達のスーパーマーケットAUCHANから私の携帯に、『7日と8日だけ活きオマール特売!』というSMSが入ったので、きょうは土曜日で混むのに勇み足で買いに行きました。
お気に入りのブルゴーニュの白Rully Premier Cru 2009を開け、オマール、ラングスティーヌ、平目のうまいもんトリオによるシェフのおまかせメニューで、ちょっと贅沢な家ランチをしました。
おなかいっぱいです。夜は食べられません。

しつこいようですが、バカラ展の続きいってみようと思います。
なんだか今日は疲れたので、写真だけ掲載します。コメントは明日追加します。スミマセン。

パリ市を象徴する船のオブジェとテーブル。ル・グラン・デポという高級クリスタルや陶磁器の専門店からの注文により制作。1900年のパリ万博出品。

フロアスタンド式燭台 (左)1909年 ニコライ二世の注文  (右)1867年 アレクサンドル二世が王妃のために注文
テーブルは同じく1867年 アレクサンドル二世の注文 椅子は1883年インドのマハラジャの注文

ロシア、ロマノフ王朝のためのグラス類 20世紀初頭。(左)ドミトリー・パヴロヴィチ大公の注文
(右)1906年に最後の皇帝ニコライ二世の為に作られたためService du Tsarと呼ばれる。

1909年にNancyで開催された東フランス国際博覧会出品のアプリック(壁灯)
ここから下5枚の写真は全て同博覧会出品作品です。

『波』と題されたインク入れ  『魚の尾』花瓶 

ブロンズとクリスタルのコンポジション作品がこの時代多く見られる。
右2点は色被せ、エッチング、金彩によるバカラには少ないアール・ヌーヴォー的な作品。

この博覧会場のバカラのスタンドの写真をバックに、今も続いているプラフォニエCrinoline (左) とランタン (右)

スタンド入口に展示された高さ1.7mもの巨大な花瓶。エチオピアの王様が購入したので"Vase du Négus"と呼ばれる。
右は『ポンペイ風松明』と俗称される2.15mものオイルランプ

美しい聖杯類。金彩はエナメル絵付師Auguste Heiligensteinの手になる。

晩餐会のテーブルをイメージしたテーブルセッティングの上に吊られたルイ16世風大シャンデリア2台
左は19世紀末の24の蝋燭と24の電球を使ったもの。右は1891年の88の蝋燭を用いるもの。

上のシャンデリアの下には各国の王室や政府から公式晩餐会用に注文されたグラス類がセットされている。
アメリカ、ルーズヴェルト大統領、François Villon(モデル) ロシア、ニコライ二世、Tsar

日本、ムツヒト(明治)天皇、Beauvais   インド、マハラジャ・カプールタラ、Pau

フランス、エミール・ルベ大統領、Juvisy

2014年11月7日金曜日

バカラ250周年記念 《LA LEGENDE du CRISTAL》展 -その2-

秋が深まってまいりました。パリは昨日から突然寒くなり、朝など気温が5~6℃しかありません。
今日から秋のバスティーユ大骨董市が始まりました。
搬入日の昨日一回りして来ましたが、今日もまた宝探しに行って参りました。
脚が疲れましたが、普段の運動不足の解消も兼ねて(きょうは)休まず、飲まず、食わずで頑張りました。

さて、バカラ展の続きをご覧下さい。

色被せグラヴュール(エッチング)花瓶とパンチ・ボウル 1867年

1867年のパリ万博出品作品。
中央はSimonの花瓶と呼ばれるバカラの代表作(Simonはグラヴュールを施した彫り師の名前)

同じく 1867年のパリ万博出品作品。古代エジプトやギリシアのモティーフが使われている。

ロレーヌ地方はビールの本場だけにバカラにはビール用の凝ったグラス類が多い。
左はグラヴュールのビールセット1878年。右は1867年パリ万博出品グラヴュールの水のセット。

氷を入れるポケット付きのピッシェ2種1860年代。シメール(キマイラ)のピッシェ1878年。

1878年パリ万博出品作品。アラブ風とイタリアン・ルネッサンスをミックスしたピッシェ。
チェス盤とチェス駒。駒を仕舞うコンパーティメントには赤い絹のキャピトネが敷かれている。

 同じく1878年パリ万博出品作品群。左手前はイタリア16世紀のラピスラズリ製クップとそれを模したバカラのクップ。一連のイタリアン・ルネッサンス風なカットグラヴュール作品。

エナメル彩と金彩で花や月が描かれた代表的なジャポニズム作品。やはり1878年パリ万博出品作品。

1878年~1880年はジャポニズムの最盛期だったようで、多くのジャポニズム作品が作られた。
でも、日本には棲息していなかった象が何故?

高さ65cmもある象のリキュールセット(ホテル・クリヨン所蔵品)。一連のオリエンタリズム(つまりアラブ風)作品。
しつこいようですが、殆どが1878年パリ万博出品作品です。

いかがですか?どれもこれも、まさに垂涎ものですよねぇ。バカラ展まだまだ続きます。次回をどうぞお楽しみに!

2014年11月5日水曜日

バカラ250周年記念 《LA LEGENDE du CRISTAL》展 -その1-

『クリスタルの伝説』或いは『クリスタル物語』と題されたバカラ創立250周年を記念する回顧展が、10月15日からパリのプティ・パレ美術館で開催されています。
オールド・バカラをスペシャリテと謳っているアンティック屋を営む私達にとっては、何を措いても見にに行かなくてはならない必見、待望のこの展覧会、実は恥ずかしながら日本のお客様から最初に情報をいただいたのでした。
6月に観に行ったメゾン・バカラでの《BACCARAT 250 ANS》展は大したこと無かったので、今回のプティ・パレのバカラ展を待ちに待っていたのですが、10月は何やかやと有って忘れており、遅れ馳せながらこの日曜日に行って参りました。

期待以上の素晴らしい大展覧会でした!
500点にも及ぶ普段は本でしか見られないような歴史的逸品を間近に好きなだけ見られるなんて、夢のようです。
またライティングやレイアウト、全体の構成など展覧会そのものが洗練されていて美しく、とても素敵なイヴェントでした。
しかも嬉しいことに撮影自由だったので、写真撮りまくってきました。
一度でご紹介しきれないので分けてご覧に入れたいと思います。

 1900年のパリ万博のパヴィリオンとして建てられ、1902年からパリ市立美術館として公開され現在に至るプティ・パレ美術館。カッコ良いバカラ展の垂れ幕。

 パレ(パラス)を名乗るだけあって宮殿のように豪華な内部。実は中に入ったのは初めて。

 展覧会の入口脇に吊るされたバカラの巨大シャンデリア。美しい!

 1844年製ウランクリスタルの鉢。1850年代の色クリスタルのテーブルウェア各種。

 やはり19世紀半ばの色被せ、オパリーヌ、オーヴァーレイなどの色物製品色々。

 1855年パリ万博出品作品。左から色被せ、エナメル彩、金彩花瓶。型吹きオパリーヌにエナメル彩、金彩コルネ型花瓶一対。オパリーヌに金彩、蛇の手付き高脚クップ。

 ルイ18世王朝の注文によるカットグラスサーヴィス一式。1823年製。

 ヴェネツィアン風レースグラス製品。1850年頃。

高さ60cmの吹きガラスに赤い蛇が溶着されたコルネ型花瓶 1860年頃。 
ベリー公爵夫人のトワレット・テーブル(化粧台)と椅子 1818-1819年製。

19世紀半ばのミルフィオリ作品、カットとグラヴュールのキャラフとグラス、トリプル・オーヴァーレイの羽根ペン挿し。