2012年8月30日木曜日

続・ミュルーズの…とその街

恒例の夏の終わりの小旅行の行先がやっと決まりました。
今年はちょっと遅れ気味で、夏の終わりというより初秋に近くなってしまいますが、ひょっとしたら森の茸などが食べられるかも知れないし、貝類も解禁(最近は専門店では一年中食べられますが…)になるし、なんて早くもよだれが垂れそうです。
厳しくダイエットをしなくてはならない状態(慢性的に)の私達なのに、ダメですね本当に。

先日、去年の小旅行の折に行ったミュルーズの自動車博物館のことを書きましたが、街の写真を追加します。
前にも書きましたが、突然の局地的な猛暑にバッチリ襲われた私達は、自動車博物館見学の後ヘロヘロになりながらミュルーズの街の中心に向かい、涼しくランチができる場所を必死に探し回り(かえって汗をかいた…)、市庁舎とカテドラルのある広場でなんとか冷房のあるサロン・ド・テを見つけて一息入れたのでした。
フランスでは高級レストランかマクドナルドのような店以外で冷房のある店は未だに案外少ないのです。私達には耐えられない暑さだというのに、フランス人はけっこう平気のようで、広場に出したカフェの延長テラスでパラソルの下とはいえ、熱気でムンムンした所で楽しそうに憩っていました。
暑くて死にそうだった私達も頑張って、騙し絵の壁画が面白い市庁舎や、広場に面した色とりどりのお店のファサードや、カテドラルの写真を何枚か撮りましたので、全くの骨折り損のまま埋もれさせるのは切ないのでご覧下さい。

自動車コレクションの続き
この地方ならではのドイツっぽいカラフルな街並み。手前上方に垂れているのは市庁舎の三色旗。
市庁舎の側壁面。16世紀の建物で(修復されているのでしょうが)騙し絵がユニーク。
修復中の鐘楼が少し残念だけれど、立派なゴティック様式のカテドラル

2012年8月29日水曜日

バカラの花瓶に庭のバラを挿す

今朝、庭のバラがフェンスの外に顔を突き出して綺麗に咲いていたので、悪童に折られたりする前にと、切ってバカラの花瓶に挿してみました。何気なく選んだのですが、よく見ると花瓶にも小さなバラが金彩で描かれておりました。
19世紀後半のジャポニズムを反映したスタイルでありながら、絵柄はロココ風という不思議なミスマッチが意外に面白く、
和風な花でも洋風な花でも似合いそうな花瓶です。

お花の写真って素人には難しいですね。特に屋内ではあの美しさがなかなか捉えられません。
私が苦心して写真を撮っていたら、いつの間にか子供達が『Kタン(私のこと)はいったい何をやっているんだろう?』って顔でこちらを覗いていて、勝手に画像に入っておりました。可愛いので子供達だけカットして載せましょう。





2012年8月28日火曜日

バカラのクップでフルーツを食す

もう夏が終わってしまったかのような、涼しいというより朝夕は寒いぐらいの曇天が数日続きましたが、
今日は気持ちの良い晴天で、久しぶりに日除けを下ろしてバルコニーで昼食をとりました。

飲物は例によってロゼワイン、カマルグ(南仏アルル辺りの下の海辺地方)のbioでしたが、どうもピンと来ませんでした。
メニューはホロホロ鳥とオニオンの炒め物、ウチの茗荷(初物)と胡瓜の塩もみに本枯れ削り節添え、ウチの南瓜の味噌仕立てポタージュ、小鰯の南蛮漬けに大根の甘酢漬け添え、納豆とご飯という和洋折衷のシェフ(夫)のオリジナルおまかせ料理。
デザートは二人の合作フルーツサラダで、メロン、ウチの梨、ご近所のプラム、ペチャンコ桃(日本にもありますか?上下につぶしたような平たい桃でとても美味しい)に砂糖キビのシロップ、ロレーヌのミラベル酒(16年物48°)、ラム酒を加えて冷やしたパンチ風。器はオールドバカラArgentinaのシャンパンクップにしてみました。アールデコ風にデザインされた花や星のエッチングがあまり目立たなくて、ちょっとガッカリ。シャーベットやゼリーの方が似合いそうです。
スプーンはヴェルメイユ(銀に金メッキをほどこしたもの)のロシア風(19世紀後半フランスの流行)ティースプーンを添えました。銀だと果物の酸で黒くなったりしますが、ヴェルメイユはその点良いですね。卵やキャヴィアに良いのは知っていたけれど、目からウロコでした。

この夏のバルコニーの花はピンク一色のペラルゴニウムに真っ青なロベリアを少し混ぜたのですが、ペラルゴニウムの勢いが凄くて、ロベリアは負けてしまいました。フランスでは秋から春はパンジー系、初夏から秋まではジェラニウム系、というのがバルコニーや窓辺の花の定番です。今年は我家の花も当たりだったようで、綺麗に次々と咲いてくれています。



2012年8月27日月曜日

ミュルーズの国立自動車博物館

今年の夏まだ何処にも行っていない私達は、何処に行こうか?と我家の聖書ミシュランの赤ガイドと首っ引きで毎日悩んでおります。美味しくて安くて素敵な所という三原則があり、条件に適う所を見つけるのは至難の業なのです。
いい所見つけた!と思うと『犬ダメマーク』だったり、やたらに遠かったりで、楽しみながらも少し焦りが出てまいりました。

去年のちょうど今頃はアルザス地方に行ってたね、メチャ暑かったね、なんて思い出して写真を見てたら、ミュルーズの自動車博物館で撮った写真が出てきた(といってもUSBメモリーからですが)ので、ご披露します。
あの旅行中あまりの暑さにデジカメの電池が中で膨張してカメラが壊れてしまったのですが、この日は完全に壊れる前日だっただけに、せっかくの世界最大級のミュゼ見学だったのに撮った写真の半分以上はボケ写真でした。少しましなのをお見せします。
アンティック好きの私達ですが、さすがにここまで大きくて高価なアンティックには手が出ませんね。
博物館のサイトです。http://www.citedelautomobile.com/fr/home


 
 
 

2012年8月25日土曜日

セロリの花とETLINGのボンボニエール

昨日の夕方、久々に雨が少しだけ降りました。
どれぐらい久しぶりかというと、記憶が定かではないのですが1ヶ月は降っていなかったような気がします。
雨が降らないと草木の多い我家の庭や畑への水遣りで、水道代が高くなるので困ります。
お散歩の時に新鮮な道草を食べるのが好きな私の子供達もかわいそうですし。今朝は庭も子供達も嬉しそうでした。

セロリの花ってご存知ですか?いえいえ、ラーメン屋さんのことではありません。
姉妹社の新着品の中に、セロリの花がデザインされたボンボニエール(キャンディボックス)があるのです。
売り手はミュール(野生の黒いラズベリー、ブラックベリー?)だと言っていたし、私も最初その類の果実のモチーフかと思ったのですが、どこか違うという気がしてよーく見ているうちにパッと閃いたのです。葉っぱがセロリに似ているなって。インターネットでセロリの花の写真を検索したらやはりそうでした。別にどうってことないのですが、些細なことでも自分が納得していない事を書けないという厄介な性質なもので、サイトに商品説明を書くための確証が見つかって溜飲を下げたという訳です。
そういえば我家の菜園に植えたセロリも木のように大きくなり、やがて花が咲いたのですが、地味なのでよく観てもあげなかったけれど、特に綺麗な花だったとも思えないのですが…。選りに選ってセロリの花をデザインするなんて変わってますね。

Edmond ETLING(エドモンド・エトリング)は、1920~30年代にパリに店を構え、オリジナル・ブランドの高級ガラス器や美術工芸品をプロデュースしたユダヤ系大商人でした。彼は当時の人気作家達を専属アーティストとして抱え、彼等の作品を雛型にして大手のクリスタルメーカーに発注し、自社ブランド製品として売り出したのです。ラリックの向こうを張ったオパルセント・クリスタルの型物は特に人気を博したようです。
これらの貴重な型は、製作を担当したクリスタル工場が預かっていましたが、1940年ナチス占領下のパリからユダヤ人強制収容所に送られたETLING一家の誰一人
として、戦後この遺産を相続すべく帰還しなかったといわれます。




2012年8月24日金曜日

相変わらずロゼワイン

フランスの天気予報ほど当てにならないものはないと分かってはいるのですが、ここまで裏切られるとは!
予報に反して相変わらずの日照り続き、にわか雨すら降りません。
でも、30℃を超える暑さは数日だけで再び涼しくなりなりました。今度こそ夏が終わったのでしょうか…?
そんな一抹の寂しさを紛らすかのように、我家では相変わらず夏の飲物ロゼワインが流行っております。
昨日飲んだのはPays d'oc(南西フランス、ラングドック・ルスィヨン地方のワイン)のbioのロゼで、太陽をたっぷり含んだようなオレンジ色がかった綺麗なピンク色で、美味しかったです。ラベルもbioらしく、蝶々が付いていて可愛いし。

新しいパソコンが入り、また色々な設定作業やら問題やらでこの2~3日バタバタしたけれど、漸く落ち着いたところです。

飲み終わる頃に写真を撮られたロゼのボトル
お気に入りの古いサン・ルイのグラス

2012年8月21日火曜日

新着グラスの予告編

きょうは少しだけ暑さが和らぎました。それでも18時40分現在まだ29℃です。
ずうっと雨が降っていないので、近くの森のマロニエの葉は枯れ始め、地面もひび割れてきていて、
オラージュと言われる凄い夕立が来ないかと空を見上げてばかりいるこの頃です。

またまたグラス関係です。昨日夫が撮影した新着ガラス類の写真を姉妹社のHPにアップすべく、きょうから写真いじりの仕事を始めました。レスキューのノートPCでしかも慣れないソフトを使っているので大変ですが、けっこう楽しんでいます。
ちょっとだけ予告編をお見せしますね。

格調高いバカラのシャンパンクップ5客セット
ルネ・ラリックのグラス2客セット
ラリックのリキュールグラス6客セット

2012年8月20日月曜日

アンティックのグラスで食事を楽しむ

パリは今日も暑いです。(これは昨日19日の話。夕食でブログを中断したままになっておりました。すみません。)
お昼にコルシカのピノ・グリ(葡萄の品種)を飲んだら猛烈に眠くなり、子供達といっしょに少しだけ昼寝をしてしまいました。
コルシカのワインは初めてでしたが、淡いピンクでスイスイいけてセラノの生ハムやロックフォールのチーズに良く合います。

さて、昨日に続いてグラスのお話です。
まず昨日のブログに貼り付けた画像の説明からいきますが、ラリックのカタログ・レゾネからの抜粋は、グラス・サーヴィスの項のトップナンバー1924年のモデル"ANDLAU"です。このモデルに限らず、全てのサーヴィスが同じ構成になっており、
左からbroc(ピッチャー)、verre(グラス)は大きい順に水、ブルゴーニュ、ボルドー、マデール、リキュール、シャンパン・クップ、carafeというのがスタンダード(ラリックの場合)な一式です。
面白いのは、シャンパン用のグラスがラリックの場合ほとんどのモデルにおいてフリュートではなくクップであることです。1938年~39年の3種のモデルのみフリュートが入っています。
これはアールデコ時代の流行とデザイン様式によるものと思われます。

昨日は姉妹社の手持ちのゴブレの画像を紹介しましたが、ここでグラス類の呼び名について説明します。gobelet(ゴブレ)は通常脚の無い(或いは極短い脚付き)グラス、日本で言うコップ、タンブラーにあたります。
verre(ヴェール)は広い意味でガラス、グラスを指し、用途によってヴェール・ア・ヴァン(ワイングラス)、ヴェール・ア・オー(水用グラス)のように言います。coupe(クップ)は浅く広口のシャンパングラス(または平鉢)のことですし、flute(フリュート)は笛のように細長いシャンパングラスを指します。

昨日の最後の画像はバカラ1916年版のテーブルウェアのカタログからモデル"NANCY"のグラスのページですが、さすがバカラ、凄いラインナップですよね。ゴブレだけでもアメリカ式、ボヘミアン式、脚付き、手付き、サイズも大きいのはビールから小さいのはリキュールまでそれぞれ用途別に揃っております。
高脚付きのヴェールは同じシェイプで大きい順に水(2)、ブルゴーニュ、モーゼル、ボルドー、マデール、ポルト、リキュール(2)の9サイズあり、更に、シャンパンクップ、シャンパンフリュート、ラインワイン2種。
昔のフランス人のこだわりに驚きます。酒文化、ひいては食文化のレベルの違いが目の当たりですね。しかし時代と共に簡略化され、現代ではバカラといえどもここまでの品揃えはありません。

今回の画像は、1907年版のバカラのカタログからの抜粋で、1899年以降現在までフランス大統領官邸エリゼ宮で使われているモデル"JUVISY"(当時はカットパターン名のみ)のページです。図版には代表の何種かだけが掲載されておりますが、付属の価格表を見ると1モデルにつき丸々1ページの品揃えです。図版の下の段にはデザート用のコンポート入れ、大クップ、チーズ入れが見られます。
写真は色々なグラスの実例として、私がかつて持っていたり今も姉妹社のコレクションとして持っておりますグラス類です。リンクをクリックすると詳細をご覧いただけます。


左上バカラ"Harcourt"http://www.antique-shimaisha.com/product/29  左下バカラ"Saint-Hubert"http://www.antique-shimaisha.com/product/72  中央バカラ"Juvisy"水、ボルドー、マデールhttp://www.antique-shimaisha.com/product/18  右上バカラ"8469"http://www.antique-shimaisha.com/product/82  右下バカラ"Argentina"クップhttp://www.antique-shimaisha.com/product/56

左よりサン・ルイのフリュート・クップ バカラ"Djeddah"フリュート ラインワイン用グラスhttp://www.antique-shimaisha.com/product/26  カットグラヴュールのグラスhttp://www.antique-shimaisha.com/product/54 ラリックの特大グラス"Clos Vougeot"http://www.antique-shimaisha.com/product/42

2012年8月19日日曜日

アンティックのグラスで冷たい飲物を

残暑お見舞い申し上げます。
と、2~3日前までは飽くまで一方的にお見舞い申しあげる立場に立っていたのが、なんと昨日からパリも他人事ではない猛暑に襲われ、今、夜の7時台ですが日陰で36℃の暑さです。
毎日こんな目にあっておられる日本の方には悪いけれど、私達はやっと夏らしさが味わえて、ちょっとウキウキ気分です。
こんな日は家で音楽でも聴きながら、バカラのグラスで冷たい飲物を楽しむに限りますね。

さすがグルメの(いや、飲兵衛の)国フランス、グラスの種類の多いことといったら驚くほどです。
結婚祝いにはグラス一式(最低でも水、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパンの4種x6客=24客)は欠かせない贈り物アイテムのひとつです。私達はガラス好きでお酒好きなので、ついグラス類に目が行き、買ってしまいます。
涼しげなアンティック・アイテムとして何回かに分けて、グラス類を特集してみたいと思います。
 
姉妹社のHPより http://www.antique-shimaisha.com/product-list/2
ラリックのカタログ・レゾネより"Andlau"
左よりバカラ"Palerme"http://www.antique-shimaisha.com/product/19 バカラ"Nancy"http://www.antique-shimaisha.com/product/25 バカラ"Rohan"http://www.antique-shimaisha.com/product/83 金彩色とグラヴュールのポルトグラスhttp://www.antique-shimaisha.com/product/23
1916年版バカラのカタログから"Nancy"のグラス各種



2012年8月17日金曜日

香水瓶、トワレットアイテム

香水は、昔も今も高価で贅沢な『目に見えないジュエリー』ですよね。いったん外に出したら、時や空気と共に消え去ってしまうこの儚く貴重なジュエリーを仕舞っておくための宝石箱の役割が香水瓶なのです。
美しく、趣向を凝らした香水瓶が古来よりたくさん作られ、コレクション・アイテムになるのも尤もな訳です。香水といってもいわゆるparfumからeau de cologne(今ではeau de toiletteと呼ばれる事が多いかも)まであり、
それに応じて容器のサイズも極小からお酒のボトルほど大きなものまであるのですから、コレクションは尽きません。
私はコレクターではありませんが、香水瓶のコレクションなんて優雅で素敵でfemininですね。でも、お金がかかります。
アンティックのバカラやラリックの香水瓶には素晴らしいものが多く、そのかわりとても高価です。

高級宝飾作家だったルネ・ラリックをガラスの世界に導き、ガラス作家に変身させるきっかけになったのは時の香水王COTYからデザインを頼まれた香水瓶だったとも言われます。
アンティック・ガラスの好きな人にとっては避けては通れないアイテムかも知れませんね。


姉妹社のHPから http://www.antique-shimaisha.com/product-list/14
19世紀末の飾り棚に並んだ小物達
左よりラリック"ルリエフ"http://www.antique-shimaisha.com/product/48 ラリック"ダリア"http://www.antique-shimaisha.com/product/35    バカラのアトマイザーhttp://www.antique-shimaisha.com/product/34 ラリック"オー・ド・コティhttp://www.antique-shimaisha.com/product/49 
フラコン付きミニ鏡台http://www.antique-shimaisha.com/product/31
旅行用革張りケース入り香水瓶










2012年8月16日木曜日

ウチの南瓜、トナリの桃など

一旦は諦めたVAIOが昨日他のOSを入れてみたら奇跡のように甦り、半信半疑ながら色々設定作業など1日PC工事に明け暮れていて、またブログが更新できませんでした。
ところが、一抹の悪い予感が的中して今朝からまたしてもVAIOがダウン、昨日の作業が水の泡となり、なまじ糠喜びしただけに厳しく落ち込んでおります。きょうは香水壜のことなど書こうかなと思っていたのですが、なんか疲れてしまいました。

全く何の脈略も無いのですが、我家の菜園で夫が丹精こめて作った南瓜ができたので、いつもお花の種や苗や庭で採れた果物をくれるご近所に今朝ひとつあげたら、お返しに捥ぎたての香りの良い小さな桃ペッシュ・ド・ヴィーニュ(葡萄の桃と呼ばれ、葡萄畑に生る桃らしい)をいただきました。
我家はパリの都心まで車で30分の郊外なのですが、まるで田舎のようにご近所と物々交換をしたりするのどかな所なのです。
で、夫が食卓に花の代わりに置いた南瓜が綺麗だったので、傍らに今朝いただいた桃を並べて写真を撮りました。
ささやかな気分転換です。もう今度こそはVAIO諦めて、明日は香水壜のことを書こうっと。

『レッド・クリ』という種類の南瓜が載っているのはバカラのギャルドナップ。

 

2012年8月13日月曜日

Bitcheの安くて美味しい料理旅館

ブログを毎日更新しよう、という私の大いなる初心を早くも挫けさせるトラブルが発生し、2日間も休んでしまいました。
デザインの美しさに惑わされて4年前に購入したVAIOのオールインワン型PCが調子悪く、春にも壊れてメーカーが無償で
マザーボードを換えて分解掃除もしてくれたのに、今度はどうやらハードディスクが壊れたようで、リカヴァリも出来なくなって
しまい、途方にくれております。何とかならないものかと素人が悪あがきを2日間も続けたせいで、レスキュー用のノートPC
(今もそれを使用)があってもブログを書く気持ちの余裕が無かったのでした。
ほぼ諦めもついたので、気を取り直してきょうからまた続けます。

前回、サン・ルイのクリスタルミュージアムの話が脱線しそうになった料理旅館(私より二分の一世代ほど古い夫の言葉)
について、きょうは書いておきたいと思います。
Bitcheという町はあの界隈では大きな町に入りますが、実に何にも無いところで、何故そんな所にわざわざパリから438kmも
車を走らせて出かけて行ったかというと、このLe Strasbourgというホテル・レストランが目的だったのです。
着いてみたら外観は古びていて全然ステキでもなんでもなく、エェー?ここかい!安いから仕方ないか…と暗くなったのですが、部屋に案内されてパッと顔に電気が点いたように明るくなりました。
1泊100ユーロ(二人と二匹)の部屋とは思えない立派なスイートで、窓からは裏の公園の緑が見えてなかなか素敵です。
レストランも外観とは裏腹にシンプルながらモダンな内装で悪くなく、お料理はといえばホントにこのお値段?と信じられないような丁寧で綺麗で美味しいミシュラン一つ星に恥じないご馳走が、夜のメニューで35ユーロと55ユーロという安さなのです。
(今も値段は変わらないようです。)若いシェフを始めスタッフも感じが良く、私達のまた行きたいお店が増えたのでした。
日本からわざわざ旅の目的として行く所ではないにしても、もしサン・ルイやバカラを訪ねたい方がいらしたらおススメですよ。http://www.le-strasbourg.fr/

近くの池。歩いて楽に一周できる静かな散歩コース。この地方は森また森の風光明媚な所。
Bitcheの町。ホテルの真ん前の教会。ホテルの裏の公園から撮影。
「旅行は楽しいねぇ!」ホテルのベッドでゴロンゴロンしてはしゃぐベティ。ホテルの猫。裏の公園でお散歩。
食べるのに夢中でつい撮り損ねる料理の写真。しかもなかなか綺麗に撮れない。

2012年8月10日金曜日

サン・ルイ クリスタルのミュージアム


誰も訊いてくれませんが、このブログのバックに使っているグラスやキャラフのモチーフは、
ほとんど(バカラも少し混在)がクリスタルリーSaint-Louisの昔のカタログのイラストから拝借したものなのです。
そんなご縁もあることですし、今日はサン・ルイの工場に併設されたミュージアムを見学した時の画像をご紹介します。
2年前になりますが、フランス東部ロレーヌ地方のBitcheというドイツとの国境地帯にある町の美味しくて安い料理旅館に滞在し、
(レストランはミシュランの★付きで、超おススメ。あ、また脱線しそう。この話は別の機会に)近くだというので暇つぶしに出かけたのですが、道を間違えたみたい戻ろうか?と思ったほど人里離れた山の中に忽然とそれはありました。
意外にもモダンな作りで、とても見学し易いミュージアムでしたよ。
1781年に王立ガラス工場としてこのSt-Louis-les-Bitcheという地に発足し、フランスで最初にクリスタルを導入したサン・ルイの工場は今もここで稼動し続け、素晴らしい製品を産み出しているのです。
因みに1989年からはあのエルメスがオーナーなのだそうです。どうりでオシャレなミュゼな筈ですね。 
(画像をクリックすると大きく見られますよ、例によって。)


ミュゼの中心が吹き抜けになっていて、シャンデリアが何台か吊られている
型もののコーナー。狐、ローマ法王、犬のペイパーウェイト。召使のキャンドルスタンド(Antique姉妹社にも入荷)
ルイ・フィリップ時代のオパリーヌ
サン・ルイ得意の色被せにグラヴュール及びカット製品。18世紀から現代まで。
ブルーの色被せカットグラス類。後ろはオパリーヌ。
オーヴァーレイ(オパリーヌを重ねてカットで窓を開けるボヘミアンに多く見られる技法)

19世紀から現代まで続いているサン・ルイの定番グラス類
1818年に時の王様ルイ18世の為に作られた地球儀(複製)。Globe Terrestre(地球)の飾り枠の左脇にJAPONが見える。


まだ他にも展示品は沢山あったけれど・・・

2012年8月9日木曜日

続・キャラフ、デカンタ、エトセトラ…

昨日は本題に入る前に時間切れとなり、意味も無く馬鹿みたいなブログをアップしてしまいました。
きょうは、いきなりテーマに突入します。
【Carafe-キャラフ-について】
日本でも最近キャラフェとかカラフェとか呼ばれているようですが、昔はデカンタで通っていたような気がします。
因みにフランス語ではdecanterとは液体の滓を残して上澄みだけを取り出す行為を表す動詞であり、名詞ではありません。
carafe(カタカナ表記するならキャラフが比較的近い発音かと)は、食卓で使う水やワインを入れるガラスまたはクリスタルの
容器全般を呼ぶ名詞で、広い意味ではフォルムを問わず使われます。
例えばカフェやビストロでタダの水道水を頼む時は"Une carafe d'eau SVP!" 「ユヌ・キャラフ・ドー スィル・ヴ・プレ!」と
叫ぶと安手のガラスの水差しに入れた水を持って来てくれます。
高級レストランで年代物のワインを頼むと、ボトルを見せた後栓を抜いてから暫く置き、おもむろにクリスタルのキャラフに
デカンテしてサーヴィスしてくれます。
カフェでタダの水を入れるのもcarafeなら、高級ワインをボトルから移し入れるのもcarafeなのです。
【Broc-ブロ-について】
広い意味ではこれもキャラフに入るのですが、持ち手と注ぎ口が付いたものはbrocブロ(ブロックとは読みません)と呼ばれます。昨日のブログに載せた写真のものが、これに当たります。ブション(栓、ストッパー)が付いたものと無いものとがあります。
【Canette-キャネット-について】
ブロと同じように持ち手と注ぎ口が付き、多くの場合1リットル以上入りそうな大きさで背が高く、広口でブションや蓋の無いガラスやクリスタル製のビール専用ピッチャーのことです。
現代では専ら缶ビールなどのカンの意味にしか用いられませんが、昔は各クリスタルリーがこうしたキャネットとショップ(コップ、タンブラー)をセットにしてビール・サーヴィスとして売っていたのです。
【Flacon-フラコン-について】
どこがどう違うのかと言われても困るのですが、何故かウィスキー用のブション付きキャラフはフラコンと呼ばれます。
強いて言えば、フラコンは比較的コロンとした感じの小ぢんまりとしていながらもしっかりと肉厚なガラスやクリスタルで出来た
キャラフといったところでしょうか。
【Aiguiere-エギェール-について】
そろそろウンザリしてきましたね。まだいるのですよ、キャラフの仲間が。aiguiereは今ではほとんど死語に近いと思われますが、アンティックの世界ではまだ使われます。aigueとはラテン語のaquaから来た古語で水を表し、aiguiereとは本来は水瓶のことなのです。しかし、近代では水差しのイメージはなく、古風でエレガントなキャラフを指すようです。多くの場合、鶴首で下部がつぼまって時に台座が付くフォルムで、持ち手と注ぎ口が付いています。brocとの違いはといえば、微妙ですが、より優雅で装飾的なところでしょうか。

やれやれ、本当はまだcrucheとかpichetとかpotなんていうのもあるのですが、アンティックのガラス器としてはこんなところです。(文字化けが心配なので、フランス語のアクセント付き文字は避けました。)



1930年代のキャラフ バカラ"Golfe Juan" 
1930年代の銀装飾付きキャラフ バカラ
1960年代のシェイカー兼キャラフ バカラ"Elisabethe" 
             

20世紀初頭のトワレット用キャラフ バカラ"Diamants Pierreries" 


(左から)19世紀末のキャネット DAUM、 現代のウィスキー用フラコン バカラ"Harcourt"、 現代のエギェール ERCUIS