YENの店長兼そば打ち人の桜井氏は、山梨『翁』時代の高橋名人に弟子入りし、特訓を受けてYENを開店した人で、彼は高橋氏を師匠と崇め、教えを忠実に守って私達に美味しい蕎麦を食べさせてくれる有り難い人です。
彼の蕎麦も既に十分美味しいのに、その師匠であり日本一と言われる名人の打つ蕎麦とはいかに?と、期待に胸を弾ませながら赴きました。
お店に入ったらすぐ間近に名人その人がひっそりと椅子にかけて休んでおられ、私はつい、初対面にもかかわらず無作法に「あ、名人!」と声をかけてしまいました。名人は一瞬戸惑った様子だったけれど椅子からちょっと立たれて会釈を返してくれました。
前菜の写真は撮ったのに、肝心のお蕎麦が出てきたら賞味するのに集中してしまい、食べ終わってから写真を撮り忘れたことに気付きました。
蕎麦粉は勿論つゆも日本から持参されたとのことで、桜井氏には悪いけれど、やはりいつものYENの蕎麦とは似て非なる蕎麦を堪能したのでした。
日本ではなかなか食べられない幻の蕎麦を、パリでいとも簡単に、名人に気安く声をかけたりしながらいただいたなんて、一生の思い出(ちょっと大げさ?)になる午後でした。
名人のお店では盛り蕎麦一点張りでお料理は一切出ないらしいけれど、この日は特別メニューでちょっとしたミニ蕎麦懐石だった。ここでもロゼを一本空けてしまった。お蕎麦に失礼だったかも…。
食事を終えて階下に降りたら、ちょうど名人が蕎麦打ちの最中だった。
やはり凄い名人芸!所作に無駄が無くあざやかな手捌きに見惚れる。
0 件のコメント:
コメントを投稿