日本ではあまり有名ではないと思います。実は私も今住んでいる家に引っ越して来るまでは知りませんでした。
ここに移り住み始めた頃、まるで田舎のような環境が珍しく、旅行に来た気分で近隣の町や森や庭園をしばしばドライブがてら訪ねたものでしたが、そんな折に旧カイユボット別荘の庭園に行き当たり、この画家の存在を知ったのです。
パリの南東18kmほどの所にあるYERRES (イエール)という閑静な古い町の、町の名と同じ名のイエール川畔に11ヘクタールもの広い土地に英国風庭園、菜園、農家、館、スイス風山荘、オランジュリーなどが点在する素晴らしい私有地(今は市の所有)をパリの裕福な実業家であったカイユボットの父が1860年(ギュスターヴ12歳)に別荘として買い、家族は1879年まで毎夏をここで過ごしたのだそうです。
庭園も建物もほぼ当時のまま保存され、カイユボット記念公園といった感じで公開されており、メインの館は市の文化部か何かが使い、山荘はレストラン、オランジュリーでは個展などの為のギャラリー、農家はブティックや展覧会など多目的スペース、菜園は園芸愛好家協会によって菜園として、といった具合に活用されています。
画家としてのカイユボットはフランスでは人気があり、2011年にも写真家であった弟の作品といっしょの展覧会がパリのジャックマール・アンドレ美術館で大々的に開かれました。
私達も観に行きましたが、かなり並びました。特別な芸術性があるとも思えない作品ですが、古き良き時代のパリのブルジョアジーへの憧れやノスタルジーが刺激され彼の絵に惹かれるのだと思います。
今回は初めてイエールで開かれるカイユボット展で、彼がこの地で描いたとされる作品を中心に43点が集められ、展覧会の名称も『CAILLEBOTTE à YERRES』イエールでのカイユボットと題されています。
雑誌でこの情報を見て、カイユボットと聞くとご近所の有名人みたいに感じてしまう私は、これは是非行かなくては!そして久々にあそこのレストランで昼食を…と目論んでいたのです。結局、予定を変更して先にCROSNEのレストラン(前回のブログで紹介した店)で食べてから向かったのですが、正解でした。CHALET(山荘のレストラン)は展覧会のおかげ(多分)で満員御礼の立て札が出ておりました。
カイユボットについて詳しくはこちらをご参照ください。
イエールの庭 1875年 / 雨のイエール川 1875年
イエールの庭 2014年5月30日 左奥に見えるのがオランジュリー。上の絵とは逆方向から撮影。
Casin(カジノ、または小さな家の意味)と名付けられた別荘本館 上の絵の奥に描かれた建物。
釣り 1878年 / 泳ぐ人々 イエール川辺で1878年 / カヌー(遊び) 1878年
イエールの庭1876年 茶色の建物はChalet Suisse(スイス山荘)呼ばれた別館
菜園 1875-78年 現在も菜園として使われている。
現在のChalet Suisse。改装されてChalet du Parcというレストランになっている。一時期私達のお気に入りだった店。
この日は展覧会の後お茶をしようと一旦座ったが、あまり待たせるので今度にするわ、と言って帰ってきた。
ピアノ・レッスン 1881年 / ビリヤード 1875年 未完成
ボート遊び 又はシルクハットの漕ぎ手 1877-1878 / イエール川のカヌー (遊び)1877年
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