【ササン・ガラス】3世紀中頃から7世紀中頃まで
ササン・ガラスとは、ササン王朝時代(226年-651年)にササン朝ペルシャで作られたガラスのことです。ペルシャと言われても私なぞはペルシャ猫とかペルシャ絨毯とか『ペルシャの市場にて』などばかり思い浮かべてしまい、恥ずかしながら地理的にも歴史的にもちっとも把握しておりませんでしたが、現在のイランのことなのですね。
ササン朝時代は西からキリスト教、東から仏教の波が押し寄せてくる中でゾロアスター教を国教とし、キリスト教の東方への浸透と仏教の西方への浸透を阻む役割を果たし、同時に東西の文明の交差点として重要な位置にあり、早くから中国やインドとも係わりをもった帝国でした。
ローマに攻められ、続いて新興のイスラム勢力に攻められて滅亡しましたが、ササン朝文化はイスラム時代にも多大な影響を残したばかりか、遠く韓国および日本までその遺品を残したことは、正倉院のガラス類が証明しています。
ササン・ガラスの特徴は一口に言って円文装飾のガラスといってもいいほど(由水先生の言)、カットやアプリカシオンなどの技法によって削られたり突出させたりした円形の連続模様が施されていて、全体のフォルムもまた丸いのが典型的です。概して厚ぼったく、シンプルで、ローマンガラスはおろか古代のガラスよりも見た目には素朴で稚拙な感じさえしますが、高度な技術が駆使されているとのことです。何か大らかで暖かいものが感じられるガラスです。
型吹き+アプリカシオンのボウル 吹き+カットの瓶 型吹き+カット+アプリカシオンの杯またはランプ |
(左上)吹き+カットのカップ (左下)吹き+流し込み+カットのカップ 『ソロモンのクップ』と呼ばれるホストー2世の皿 金、水晶、ガーネット、ガラスのマルケットリー(フランス国立図書館蔵) |
白瑠璃碗(正倉院蔵) 瑠璃坏(正倉院蔵) 韓国・松林寺環文舎利杯(韓国国立中央博物館蔵) |
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