ヤレヤレ!バックアップも取っておかなかったので真っ青になりましたよ。シリーズものなので再投稿します。
【 第二帝政時代(Second Empire=ナポレオン三世)様式 】1848年-1870年
通称Napoleon Ⅲ(ナポレオン・トゥロワ)と呼ばれ、一般にはルイ・フィリップ以降アールヌーヴォー以前といったアバウトな時間的な意味合いで言われることが多い。というのも実は明確で典型的なスタイルというものが無い、或いは様々な様式が少しずつミックスされたスタイルとも言える。基本的なラインや特徴的なパターンやモティーフも無いが、それでいて一貫した趣味というか一種の時代感覚や流行の傾向は確かにある。言葉で表現するのは難しいが、全般的に華美で装飾的であり、懐古趣味、シノワズリーやコロニアリズムに見られる異国趣味などが挙げられよう。
具体的には赤のビロードや絹サテン地をふんだんに使ったインテリアやキャピトネした家具、シノワズリを反映した黒っぽい木材や
パピエ・マシェ(紙粘土材)に螺鈿風な装飾を施した家具や小物、竹や紐をを模したデザイン、黒人の奴隷に掲げさせたり支えさせたりしたデザインの照明器具やテーブルなど。また銀器や陶磁器類に見られる繊細で優美な細工や絵付けも独特である。
懐古趣味としてはルイ14世風なBoulleスタイルの象嵌細工の家具、ルイ16世風な楕円やリボンや花のモティーフなどが見られる。
こうした趣味や流行の多くは、ナポレオン三世の皇妃ユジェニーより発せられたとも言われる。
ナポレオン三世の命によって建てられたパリのオペラ・ガルニエの華麗な内部 (左は写真、右は当時の絵) |
螺鈿を真似て貝や金属を象嵌した装飾の壁時計。 シノワズリとルイ16世風(文字盤)がミックスされている。 |
【 アール・ヌーヴォー様式 】1890年代-1910年代
Art Nouveau アール・ヌーヴォー とは、『新しい芸術』を意味するフランス語で、19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米に起こった美術運動、またその様式を指す。イギリス人が使い始めた言葉で、逆にフランスではモダーン・スタイル、ドイツではユーゲント・シュティル、イタリーではスティレ・リベルティーなどと呼ばれた。現代のフランスではStyle 1900(1900年スタイル)と呼ばれる事が多い。国や作家による多様性は見られるが、共通項が有り、一つの確立された様式といえよう。その特徴を最大公約数的に総括するならば、流動的な曲線美。ルイ15世風スタイルに似ていなくもないが、更に自由でしなやかでエンドレスな曲線である。ナポレオンⅢからアールヌーヴォーに至るまでの間に流行ったジャポニズム(日本趣味)の影響も少なくない。偶数より奇数、直線より曲線、硬さより柔らかさ、左右非対称性、植物モティーフ、厳めしさより優しさ、こうした性格はジャポニズムから触発されていると思われる(私見)。しかし日本的なあっさりした風味は微塵も無く、飽くまでも西洋的で粘り気の強い、こってりとしたバター味ではある(私見)。建築分野では、鉄やガラスの多用、タイルのモザイクやフレスコ画の装飾が特徴的。調度品では、電気の普及により照明器具類に多く応用が見られる。家具類は木彫や寄木で芸術的、絵画的な装飾がほどこされた優美でロマンティックなものが多い。
この時代には建築や装飾美術のデザイナー、いわゆる作家が活躍し始める。それまで職人芸として滅多に作品にサインされる事もなかったものに名前が表れるようになる。
アールヌーヴォー様式の最初の建物と言われるブリュッセルのタッセル邸。 ベルギー人の建築家Victor HORTAによって1892-1893年に建てられた。 |
1900年にフランス人建築家Hector
GUIMARDが設計したパリのメトロの入口(左) Victor HORTAのデザインによるブロンズの置時計。時計そのものは既製品(右) |
Emile GALLE 桜文ランプ(左) Alfons MUCHA 1896年作 椿姫のポスター(右) |
アールデコまで行くつもりでしたが、予告に反して少々しつこくなってきてしまい、時間切れとなりました。(子供達のお散歩の時間です)続きはまた、明日ということで。さようなら。
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