2012年11月1日木曜日

フランスのアンティックにおける時代様式について Ⅳ

昨日の続きで、今度こそシリーズの最終稿になります。
現代では1940年代以降も既にアンティックと看做されつつありますし、50年代、60年代のスタイルというものも確かに
分類可能ではありますが、私の得意とするジャンルではないので言及しません。

【 アール・デコ様式 】1910年代-1930年代
ART DECO アールデコ とはアール・デコラティフ(装飾芸術)の略語で、1925年に開催された博覧会の名称に因んだ言葉だが、一つの時代様式を指す。アール・ヌーヴォーと連語のように使われことが多く、両者は混同されがちだが、むしろ対照的な性格を持つ全く異なる様式である。もっとも1910年代の初期アール・デコ(当時は未だそう呼ばれていなかったが)は、アール・ヌーヴォーの名残りを留めた優美なラインやモティーフが見られる。
アールデコのエッセンスとしてまず挙げられるのは、直線志向への復帰。耽美的なアールヌーヴォーへの反省もしくは反発かも知れない。(もういい加減クネクネするのは止めてビシッとしなくっちゃ、みたいな)そして過度な装飾性を省いたシンプルで幾何学的なデザイン。具象より象徴および抽象。単純なように見えて或る意味深く、知的ともいえるスマートさ。色彩的には多色よりモノトーン、またコントラストの強い配色が好まれる。アールヌーヴォーの細長いフォルムと正反対に重心の低い安定性のあるフォルムが主流。

格式あるコンサート・ホール、パリのテアトル・デ・シャンゼリゼ。1913年建造

Rateauによるジャンヌ・ランヴァン(オート・クチュリエ)の風呂場 1924-1925年

同じくRateauによるランヴァンの居間(左)
スペインの貴婦人の為にRateau がデザインしたドレッサー(右)

R.Lalique コキーユの吊りランプ 1920年代(左)
Baccarat バッカス文キャラフ 1930年代(右)




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