2016年10月26日水曜日

シャペル・ラリック (ノートルダム・ド・フィデリテ修道会礼拝堂)

プチ・ヴァカンス4日目の朝、OKB3(夫、私、Bokuの3人)はブルターニュを後にしてノルマンディーに向かいました。
次の宿泊地はオンフルールに近いセーヌ河畔の村なのですが、途中Caen(カーン)の傍のDouvres la Délivrande(ドゥーヴル・ラ・デリヴランド)という街にある修道院の中の、シャペル・ラリックを訪ねました。
ここは前々から是非行きたい所として頭の中にリストアップしていたスポットで、やっと今回の旅行のプランに組み込めて、楽しみにしていたのです。

天気が悪い上に、道路工事やら渋滞やらで予定より大分遅れ、漸くたどり着いたら午前の見学時間はちょうど終了、午後2時からいらっしゃいと窓口で言われガックリしましたが、海辺の方でお昼をして時間をつぶしました。
シーズンが終わったばかりのうら寂しい海岸で、夏だけ営業している海の家みたいな簡易レストランで簡単な食事を取り、少し悲しくなりましたが、サーヴィスのオネエサンの優しい笑顔に救われました。スマホの充電も快くしてくれたし。

本当にここなの?と疑わしくなるぐらい(言っちゃ悪いけど)貧相な外観の修道院に戻り、窓口で小銭(3ユーロだったか?)を払っていざシャペルへ。

   
中庭にあった不思議な木。木の洞に小さな聖母像が祀られていて。

建物の中に入ったらまた露地があり、突き当りに目指すシャペルの入り口が。

左は1831年から1931年まで使っていた(?)十字架。
修道会の100周年を記念してラリックにガラスの十字架の制作を依頼したのだそう。

ラリックならではの美しいキリストの十字架像と百合の花のデザインの障壁。

当初の依頼は十字架だけだったが、ラリックが祭壇周りの一連の装飾の改装を提案し、
材料費だけ修道会が持ち、制作費用はラリック社負担という条件で受け入れられた。
ラリックは製作費捻出のため(?)試作品を一式1930年のサロン・ドトンヌに出品した。


仕切りのパネル、フロア照明、吊りランプ、聖体入れの扉


百合のパネルのディテール


余ったパーツが展示されている。説明によると、パネルは4種あり、それぞれ
自在に組み合わせることができるようになっているとのこと。


信者の礼拝空間の壁に掲げられた14枚の漆絵による十字架の道行きから。
アリックス・エメという女流画家によって1948年に制作された。
この作品もまたアール・デコっぽく素晴らしかった。


修道会のホームページから拝借したシャペル内部全体の写真。

ルネ・ラリックは宗教心の厚い人間では決してなかったらしいのですが、60歳代から教会建築を手がけ、数件の作品を残しています。
そのどれもがラリック晩年の傑作といわれており、(写真で見る限りですが)独特のクールでありながら温かみの感じられる美しいものです。
今回やっと念願叶ってその傑作のひとつを間近に見ることができ、感動しました。
やはり凄いです、ルネ・ラリック。

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