2022年5月30日月曜日

Louvre-Lens ルーヴル美術館ランス別館

もう10日も経ったけれど、5月18日、我家は泥棒に入られました!
フランス生活40年以上になりますが、初めての空き巣被害事件です。
その日は朝10:30頃車で出かけて郵便局で荷物を一つ出し、東に60Kmほど離れたCoulommiersという町のオークションハウスにLiveで落札した美術品を取りに行き、そこと家との中間地点にあるお城 Château de Ferrières のシックなビストロ『Le Chai』で昼食、という仕事とドライヴと食事を兼ねたミクロ・ツアーをこなし、ほろ酔い気分で15:00頃帰宅すると…
消して出た筈の寝室の電気、隣の客用寝室(物置と化している)の電気が点いていて『ん?』と訝りながら中に入って『何、これ~‼』という訳でした。
家中の引き出し、戸棚、箱類が開けられていて足の踏み場が無いほど物が散乱していて…。
盗られたのは私のほぼ全てのビジュー類、OのBreitlingの時計、Oのコレクションのアンティックの懐中時計や鎖、私の古いデジカメ、私のワイヤレスイヤホン、庭用の鋏類などでした。
不幸中の幸いは、アンティック姉妹社のお宝が全て無事だったこと、私が隠しておいた日本円が見つからずに済んだこと、ユーロの現金やカード類は一切家に置いていなかったこと。
バルコニーのガラス戸がこじ開けられて半開きになっておりました。
これまでにご近所の殆どが被害に遭っていても、ウチは何故か大丈夫だったのですが、ついに人並みにやられてしまいました。
久々のブログをこんな不愉快な記事で始めるつもりは無かったのですが、一応記録しておかなくてはと思い立ちました。

さて、本日のメインテーマは(これまた些か古い話になりますが)、4月21日のOの誕生日記念小旅行に出かけた際に立ち寄ったLens(フランス北部の旧炭鉱町) のルーヴル別館の見学記録です。
*画像をクリックすると拡大表示されます。

美術館に併設されたレストラン L'Atelier de Marc Meurinでまずは軽く腹拵え

中はこんな感じ。(美術館からの帰りに撮ったので後片付け中)

夜のディナーが控えているので、ランチは前菜無しのメインとデザートとワインだけにする。
美術館の建物の外観

メインの常設展示室Galerie du Temps『時のギャラリー』見学はなんと無料!(企画展は有料)
パリのルーブル本館の主要所蔵品から約200点が展示され、作品は部分的に毎年更新されるとのこと。
3000㎡の広いフラットな空間にメソポタミアから19世紀ヨーロッパまでの美術品、工芸品の傑作が時系列的に展示されていて、奥に進むに連れて美術史のみならず人類の歴史を自然にしかも身近に体感できるようコンセプトされている。
以下、およそ私が鑑賞した順に撮った(個人的に)興味深かった展示作品の写真を並べてみます。

左:エジプト紀元前2500~2350年 右:紀元前650~350年

エジプト紀元前1279~1213年 神殿のオベリスクの台座の部分

エジプト紀元前945~715年

エジプト紀元前595~589年 石像

メソポタミア紀元前1500~1250年 ブロンズ像

エジプト紀元前1296~1069 副葬用の召使小像を入れる木箱

シリア紀元前1300~1200年 

フェニキア紀元前700年頃 ブロンズ像

左:ギリシャ紀元前400~100年 右:紀元前380年頃

ローマ130~150年(アレキサンドリア紀元前175年頃の彫刻のコピー)眠るヘルマフロディテ 大理石

ポンペイ30~50年 壁画の一部

チュニジア250年頃 噴水の装飾の一部 大理石、パット・ド・ヴェールなどのモザイク画

ローマ100~200年 大理石のレリーフ

中世フランス リモージュ1185~1200年頃 七宝  左:聖骨箱 右:司教杖

中世ドイツ ニュルンベルク1400年頃 グリフォン型手洗い器 銅製

ルネッサンス イタリアボッティチェリ作 テンペラ画『天使に囲まれた聖母子』1470年頃 

ルネッサンス イタリア 左:ラファエロ作『ナポリ総督夫人の肖像』1518年
右:フラ・バルトロメオ作『武器を持つ女神ミネルヴァ』1490年頃

左:ルネッサンス ドイツ 『ジェイソンとドラゴン』1575~1600年 ブロンズ
右:バロック ベルギー デュケノワ作『メルキュールとアムール』(ヘルメスとエロス)1640年頃

ルネッサンス イタリア1600年頃 水晶、ヴェルメイユ、金、七宝の花器

バロック フラマン  ルーベンス作『ユノに欺かれるイクシオン』大判油彩画 1615年頃

左:バロック スペイン  マルティネス・デル・マソ作『マリー・マルグリット・ド・ハプスブルグ王女』1653年 油彩
右:ネオクラシシスム フランス ダヴィッド作『ジュリエット・ブレ・ド・ヴィルヌーヴの肖像』1824年

イスラム オスマン(トルコ)1540~1580年 釉薬陶芸

イスラム ペルシャ(イラン)左:1700~1800年 ガラス瓶 右:1600~1800年 エナメル彩や宝石で加飾した水晶の鉢

イスラム ペルシャ (イラン)左:1500~1600年 釉薬陶器 右:1700~1800年 陶板壁画




フランス18~19世紀 左:鹿を従えた狩りの女神ダイアナ(紀元前360~320年のギリシャ彫刻の模倣)ブロンズ
右:ジャン・バティスト・ドゥベー作『若鹿を仕留めた狩りの守護神』1836年 ブロンズ

左:フランス18世紀 ジャン・アルディ作 庭園の装飾 大理石 1700~1715年頃
右:フランス19世紀 クロード・マリー・デュビュフ作『デュビュフ家』1820年

Galerie du tempsの奥に繋がる『Pavillon de verre』(ガラスのパヴィリオン)
連絡口に立っていた監視員に「入って良いの?」と訊いたら頷き、「何か観るものがあるの?」と尋ねたらまた頷きながら「景色」と答えた。

長い永い『時』を旅しました。素敵な旅でした。
この美術館は日本の建築家ユニットSANAAによってデザインされた建築とのことですが、素晴らしいと思いました。
凡そ無機質なデザインのようでありながら不思議と冷たさや硬さが感じられない、むしろ柔らかく心地よい空間を、ストレス無く自由に作品を鑑賞して回れました。
自然光と完璧なライティングの効果なのか、天井や壁の材質のおかげなのか、まるで真珠母の中のような優しい光沢を帯びた空間そのものが美しいのです。
作品の展示もとても見やすくレイアウトされていて、人垣越しにやっと見えるというようなことは一切無く、全然疲れませんでした。
『時のギャラリー』の他に、企画展の展示館や、コンサートなどができるホール、カフェテリア、図書室、ブティックなどもあり、5つの建物が繋がっているのだそうです。
期待以上の素敵な美術館のvisiteに満足したお誕生日の午後でした。(私にとっては、ですが…)

誕生日のメイン・イヴェント(ホテルとディナー)については次回リポートします。


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