もともと在宅ワークのアンティック姉妹社としては普段とそう変わらないのですが、仕入れに行けないのと荷物の発送ができない(危なくて)のが問題でした。
お客様も自粛ムードが浸透していた模様で少なかったですし…。
個人的にはレストランで食事ができないというのが最も残念な事でした。
閑だったのですからブログをまめに更新できる筈なのに、Café 姉妹社まで何となく自粛(?いや、ただのサボリでしょ)してしまいました。
遅まきながら、お正月に思いついたラリック特集記事の連載をスタートさせようと思います。
ラリック初心者の方、もっと知りたい方、そして私自身のためにも、一緒にお勉強いたしましょう。
【注】本文中のオレンジ色の文字をクリックすると、参照項目にリンクします。
さて、まずはラリック LALIQUE というブランドについて
言うまでもありませんが、LALIQUEはブランド創始者のRené Lalique ルネ・ラリックの苗字で、例えばバカラやサン・ルイのような地名由来のブランド名ではありません。(念のため)
LALIQUE社の設立はルネ・ラリックがパリに初めて宝飾品のアトリエを開いた1885年に遡ります。
ガラス製品のブランドとしてのラリックは、ルネ・ラリックが宝飾家を廃業してガラス製作者に転身した1913年に先立つ1909年頃、パリ近郊のコンブ・ラ・ヴィルに既存したガラス工場を借りて量産を始めたのが創業期と考えられます。
1913年からは借りていた工場を買い取って本格的に事業を開始し、第一次大戦による休業も乗り越えて大いに発展を続け、1919年にはアルザスにも工場を開設、1935年にはパリの一等地ロワイヤル通りに店舗(現在の本店)を構え、ルネ・ラリック没年の1945年まで≪R.LALIQUE≫ブランド即ち本人によるプロデュースが続きました。
ルネの死後1945年から1977年までは息子のマルクが後を継ぎ、ブランド名は≪R≫を除いた≪LALIQUE FRANCE≫ または短期間のみ≪LALIQUE CRISTAL FRANCE≫に変わりました。
マルクは父ルネがプロデュースしたモデルの一部を引き継ぐ傍ら、独自の新しいモデルをプロデュースしたり、ルネ時代の製品は主にガラス素材だったのをクリスタル素材に変えたり、彼なりのアップグレードやリニューアルを試みたようです。
マルクの死後1977年からは彼の娘つまりルネの孫にあたるマリークロードが引き継ぎ、1996年までメゾン・ラリックのクリエーションディレクターとして製品をプロデュースしました。
1994年にフランスのクリスタルメーカーPochetが会社を買収、2008年からはシルヴィオ・デンツ率いるスイスのArt & Fragrance社がメゾン・ラリックを経営、現在はLALIQUEグループとして多くの海外支店を擁する他ミュージアム、ホテル、レストラン、ワイナリーなど手広く事業を展開しています。
カタログ・レゾネについて
ルネ・ラリックのガラス作品について語ったり解説したりする時にしばしばカタログレゾネ(日本の業者さんは単にレゾネと言ったりもする)という言葉が出てきますが、catalogue raisonné とは総作品目録のことです。
ラリックのカタログレゾネはFélix Marcilhac(今年1月に78歳で急死したフランスの骨董商、鑑定家、コレクター、歴史家。アール・ヌーヴォーとアール・デコのオーソリティーとしてフランス骨董界の著名人)が編纂した大型本で、ルネ・ラリック存命中のガラス作品がジャンル別に分類されて網羅されております。
1989年に初版が出て、その後3回改訂版が出ています。
日本国内での入手は難しいかも知れませんが、欧米の通販サイトなどで購入可能です。
1994年版。厚さ7cm、縦横32cmx25cmぐらい。とても重い。
黒カバー1989年版、赤2004年版、緑2011年版
内容はこんな感じ
簡単なモノクロ写真、作品番号、品目、タイトル、創作年月日、技法、サイズ、ヴァリエーション、製品カタログ掲載年、復刻版の有無などが箇条書きに記載されております。
アンティック姉妹社のショップに出品しているラリック作品の詳細ページに資料画像として掲載しておりますのは、上記のようなページをスキャンしたものから抜粋、編集しているのです。
因みに1994年版をばらして(重いので)使っており、2004年版を別に持っております。
この本には上の画像のような目録だけではなく、ルネ・ラリックの詳細な年譜や、技法の解説、代表的な作品の写真や、サインについてなど役に立つ記事がたくさん載っています。
アンティック業者は勿論、ラリックコレクター必携のとても有難い本です。
次回は、サインについてのお勉強です。お楽しみに!
このコメントはブログの管理者によって削除されました。
返信削除